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【京の冬の旅】本法寺で長谷川等伯筆「佛涅槃図(複製)」や狩野山楽筆「唐獅子図屏風」を見てきた

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いま京都では第53回「京の冬の旅」が開催されていて、通常非公開の文化財が特別公開されています。

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www.kyokanko.or.jp

京都のお寺っていつ訪問しても拝観できそうなものですが、拝観できる時期がかぎられていたり、拝観はできても収蔵されている障壁画は公開されていなかったりするんです。

で、今回は「京都にみる日本の絵画〜近世から現代〜」をテーマに、智積院では長谷川等伯の代表作「楓図」(もちろん息子・久蔵の「桜図」も!)や、大徳寺では狩野探幽の「山水図」「芦雁図」、妙心寺では狩野山楽・山雪による「竹虎図」などかなりの作品が公開されています。

とても一日二日でまわりきれないくらいの数なので、まずは近場のお寺についてはリハビリ散歩のついでに見学しようと、今日はもっとも近い、うちから徒歩3分のところにある本法寺にいってきました。

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こっちが正門です。
ぼくは堀川通側の裏門(といっていいのかな)から入りましたが、帰りはこちらから出ました。

長谷川等伯と本阿弥光悦にゆかりのあるお寺です

本法寺は長谷川等伯が京都に出てきたばかりの頃に滞在していたお寺です。
等伯は長谷川家に養子に入っていますが、京都に出てきたときは実家である奥村家の菩提寺である本延寺が日蓮宗だったことから、その総本山である本法寺に寄宿していたようです。

本堂前には等伯の銅像があります。七尾駅前にあったのとちょっと似てます。

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この時代、縁もゆかりもない土地に出ていくときに自分ちの宗派を頼るんですね。

以下のページで本延寺も紹介しています。

kojodan.jp

ちなみに現在地に移転したのは豊臣秀吉が聚楽第を築城するにあたっての都市改造で、1587年(天正15年)のことですから、1571年(元亀2年)に上洛した等伯は一条戻り橋の近くにあったという移転前の住所で暮らしてたんでしょうね。

もうひとりの有名人が本阿弥光悦で、もともとは光悦の曾祖父である本阿弥清信が獄中で日親上人と出会って信者になったようです。本法寺の開祖、日親上人はなかなかトガッた人で他宗派の批判をしたりしてよく捕まったみたいです。
(そういうアウトロー気質というか、体制に与しないあたりは長谷川等伯にも通じるものを感じたり)

以降、本法寺は本阿弥家の菩提寺になっており、秀吉に移転を命じられた際には光悦もかなり伽藍の整備に尽力したそうです。

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で、何が見れるの?

文化財はすべて撮影不可なのですが、まず本阿弥光悦が作庭した庭園「巴の庭」があります。

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写真に「日蓮」の字を重ねましたが、半円形の石がふたつで「日」を表し、その向こう側には蓮が生える池があって、「日蓮」を表現しているそうです。
いまは枯れてますけど、夏に来れば蓮がすごいことになってるのかな。

また築山が3か所あって「巴」を表してるそうですが、よくわかりませんでした。
この庭園は国の名勝に指定されています。

文化財はまず長谷川等伯が描いた超大作「佛涅槃図(仏涅槃図)」があります。縦10m、横6mの巨大な涅槃図は東福寺の大涅槃図(明兆筆)、大徳寺(狩野松榮筆)の涅槃図とあわせて「京都三大涅槃図」と呼ばれています。
たしかに現地でもそう聞いたと思うのですが、ネットで調べたら大徳寺じゃなく泉涌寺の涅槃図を入れてる記事もあってよくわかりませんでした。
(現地には学生ガイドが待機してくれていて、とても丁寧に作品解説をしてくれます)

なお現在展示されているのは複製です。本物は京都国立博物館にあるそうで、毎年3月14日〜4月15日は本物(真筆)が展示されるそうです。

この涅槃図は久蔵の七回忌にあわせて描かれたそうで、釈迦を久蔵に見立ててその死を悲しんでいる様子を描いたともいわれてるそうです。

そしておもしろいのが涅槃図に描かれることがまずないコリー犬が描かれていることで、もちろん当時の日本にはいなかったのですが、等伯が久蔵といっしょに大坂・堺の港町にいった際に南蛮人が連れているコリー犬を見たことがあったらしく、その思い出を懐かしんで描いたとか。

ぼくは絵の上手い下手はよくわからないのですが、こういう画家の心理というか、描かれた当時のエピソードを知ると感動が増しますよね。目と脳の両方で味わうというのかな。

狩野山楽の「唐獅子図屏風」もあるよ

今回本法寺で公開される文化財のメインはおそらくこの狩野山楽が描いた「唐獅子図屏風」だと思います。京狩野(きょうがのう)の初代である山楽は狩野永徳の弟子(のちに養子)で、この唐獅子図屏風も永徳の同名作品を模して描いたといわれています。

右下に描かれていた子獅子がなぜか消されていたり、この作品にも謎があるそうですが、永徳の画風をもっとも色濃く受け継いだとされる山楽の作品ですので、なんとも言えない迫力がありました。

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公式ガイドブックより

永徳のは宮内庁が所蔵してるんですね。

www.kunaicho.go.jp

興味はあるけどむずかしそうだからと気おくれしてる方へ

ぼくはまだぜんぜん詳しくないし、絵を見たところで「これは誰の絵だ」とかわからないし、狩野派だとか長谷川派だとかも見て判別できません。
だけどそんなのわからなくてもチャンスがあれば見ておけばいいと思います。だって金碧障壁画ってそれだけでド派手でカッコいいし、見応えありますよね。

そして「竹に虎」や「唐獅子牡丹」のような仏教由来のモチーフの組み合わせだったり、「涅槃図」にコリー犬が描いてあるとか知ると絵がただの絵じゃなくなるというか、画家の気持ちが少しだけ感じられますよね。

もちろん事前に知識を仕入れておいたほうがいいですけど、あとからでもぜんぜんオッケーです。そのときに「自分の目で見たことがある」というのが大事で、一度でも見ていたらおおげさではなく感動が10倍変わります。

だから御朱印集めや菩提寺めぐりのついででもいいので、ぜひ各地に現存しているいろんな障壁画を見てほしいなと思います。
(今回の本法寺でも御朱印は書いてもらえますよ)

ぼくはまたこの期間中にどこかに出かけるつもりです。ぜんぶは見れないかもしれないけど(そのくらいの無理のないペースでいいと思います)、智積院と妙心寺はいきたいんですよね。

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