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御城印の魅力や発行したことの反響について、国吉城の大野さんに話を伺いました

御城印について調べていておもしろいなと思ったのは、たんなる商売としてのお土産グッズではないという点です。
お城で購入できるお土産グッズの大半は、じつは地元にゆかりのないものも多いです。うちにも同じ金型で造られた謎の天守を模した置物がいくつもありますが、こうした「○○城」と取って付けただけのお土産グッズと異なり、御城印の場合は地元和紙を使用したり、地元の書家に揮毫を依頼したり、さらには書き入れる文字や朱印にもこだわったりと、お城ごとの個性が発揮され、ひとつとして同じものがありません。
それはまるで天守がすべて個性的であることと似ています。

こうした御城印の特長は発行する側の地元のお城への思い入れの強さが反映された結果であり、発行(販売)する側と収集(購入)する側の距離の近さにもつながっていると思います。「御朱印」の場合は「いただく」ものですが、御城印はもっとフラットな関係で成り立っているような印象を持っています。

なかには発行する側でありながら、個人として全国の御城印を収集されている方もいらっしゃいます。
そこで今回はご自身でも御城印をコレクションされている若狭国吉城歴史資料館の大野館長に、両方の立場から見た御城印の魅力について話を伺いました。
(今回はメールインタビューです)

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国吉城で御城印(国吉城では「御城朱印」と呼称)の販売を決めた経緯について教えてください

大野
私が以前から御城印の存在を知っていたことと、当時(昨年度春)、新たな国吉城土産やグッズ展開を考え始めたことがきっかけです。
続日本100名城に選定されたとはいえ、知名度もそれほど高くないので、知名度を上げる工夫が必要な時でした。ちょうど同じ頃、美浜町内の菓子屋さんが「難攻不落味噌まんじゅう」を開発して販売を始め、当館も試食会開催などで協力しました。それまで、当館オリジナルではクリアファイルや図録や報告書等の冊子類と、観光協会製作の缶バッチくらいしか国吉城のお土産がなく、続100名城スタンプラリーも始まってお客様も増え始め、当館としても新たな国吉城グッズを企画することにしました。

予算も潤沢ではないので、使える予算内(数万円程度)で対応できて、他のお城でも販売中など集めやすくてコレクション性の高いもので、かつ、県内ではどこもやっていなくて話題性のあるもの、始めれば「県内初」ということで、それだけで話題になるもの……と、それで閃いたのが私自身が収集していた御城印です。
当時はまだ、限定版を含めても全国でも30~40城程度であったかと思いますが、これからもっと増えるだろうという予感はありましたし、今始めれば「福井県内初」で、有名な一乗谷朝倉氏遺跡や現存天守を有する丸岡城も出し抜けるぞ!と(笑)

究極には、自分が収集している御城印を自分のところの城も欲しい!!……ってのがあったやもしれませんね。
当館の売りは「難攻不落」という伝説です。「落ちない」というキーワードから、本物のお寺や神社の御朱印のように「落ちない」御利益を願い、「御城朱印」と名付けました。
来館される方々の反響はいかがですか

大野
大変評判が良かったです。
「難攻不落」の角印と、築城者の粟屋氏の家紋「花菱に扇」を朱印して、昨年7月7日の七夕から頒布を開始しましたが、手軽なお土産として、また他の城でも広まりつつあってコレクション性が高くて、以前から収集していた方はもとより、当館の御城朱印をきっかけに収集を始めたという方もいらっしゃいます。冬場には、子供の受験御守り用にと買われる親御さんもおられました。

当館では、私個人のお城グッズコレクションを分野別に公開する『城コレ』という企画展を2015年から定期的に開催しており、今年1月から4月まで開催した冬季トピックス展『城コレ2019・早春』で、初めて御城印だけのコレクション展を開催しました。
その時点では35点の御城印と、お城土産としてお城が描かれた御朱印帳を8点展示しました。あわせて、その時点で全国で販売されている御城印を一覧表にして掲示しました。

ちょうど、東海地方のテレビ局が年明けの新たなトレンドとして御城印を紹介したこととも重なり、期間中大変多くのお客様にご覧いただきました。また『城コレ』の特徴は、私が今も収集中のコレクションですから、休みの日に新たに買い求めた御城印を追加して展示するという「更新率の高さ」があり、何度来ても楽しんでいただけるという面白味があります。
実際、御城印を発行するお城が今年に入って一気に増え、展示品もどんどん増え、「1ヶ所で御城印がまとめて見れる」と評判が上がり、期間終了後も止めるに止められず、今日でも展示中です。現在展示している御城印は80点を超えました。
大野さんはご自身でも御城印を収集されていますが、御城印の魅力はどんなところにあるとお考えですか

大野
同じお城に何度も行くことを私は飽きませんが、スタンプであれ城アプリであれ、同じ城に再度行くことにはためらいがあるものです。しかし再訪のきっかけとして、御城印収集は良い理由になると思います。数年前にはなかったものですから。
そして、小さい御城印一枚の中に、その城の歴史やイメージが凝縮されているのが最大の魅力です。それが安価で集めやすいというのも大きいですね。元が御朱印を模しているわけですから、必然的によく似たサイズやデザインになるので統一性があり、コレクション性が高く、御朱印帳や御城印帳にコンパクトに収まるのもいいです。

端的に言えば「集めやすい、かさばらない」のが魅力だと思います。
私は元々、各地のお城のお土産やグッズも収集しているのですが、書籍であれ、菓子箱であれ、置物であれ、酒であれ、保管には非常に場所を取るのです。
その点、御城印は小さくて薄くて重ねても場所を取らない。それでいて全国のお城でどしどし発行中ですから、これからも末永く収集できるので、初であれ再訪であれ、訪問した証しとするにはありがたい存在です。
これから御城印集めをはじめられる方にメッセージをお願いします

大野
先に「よく似たサイズやデザインになるので統一性があり……」と触れましたが、まったく同じデザインはありません。そのお城ごとで独自の歴史や地域性、経緯に基づいた規格とデザインになっています。城跡に佇み、御城印を手に、そのデザインの美しさに込められた歴史やイメージに思いを馳せてはいかがでしょう。

御城印はこれからもっともっと増えます! 今から集めだすのも遅くありません。ひとつのお城で2種、3種と出すところも増えています。国吉城の御城朱印も、通常の朱印版のほかに、今春には城跡を覆うシャガの花を背景にした「シャガ版」を、また、今夏は開館10周年記念として金印と国吉城址シルエットを入れた「御城金印」を頒布中です(限定200枚)。
それぞれ、その折々の国吉城の美しさと歴史を凝縮した限定版です。今後も何かのイベントや記念年等に新たな限定版を発行する予定ですので、お楽しみに!

お話を伺ってみての感想

自分がコレクションしている御城印を地元でも発行したいという動機は素敵ですよね。
御城印にかぎらず、つくっている人が愛着を持って売っているグッズにはそれだけで強い魅力があります。さらに大野さんは自身のコレクションを資料館の企画展として展示するなど、御城印の魅力と可能性をもっとも理解し活用されているひとりです。

当たり前のことですが、世間的な知名度に関係なく、すべてのお城には歴史があり、魅力的なエピソードがあります。
国吉城(佐柿国吉城)もけっしてメジャーなお城ではありませんが、その歴史をひもとけば織田信長が「越前攻め」をおこなった際に本陣とするなど、誰もが知っている戦国武将ともかかわりがあるのです。
しかしこうした「うんちく」で興味を持つ人はまだまだ少数で、スタンプラリーくらいハードルを下げることが初心者層向けのPRとしては大事です。このことは攻城団でつくっているチラシやご当地缶バッジを求めて全国のお城をまわっている方がいらっしゃることでも実感しています。

そういう意味でも、御城印はお城めぐり初心者向けのコレクショングッズとして可能性があると思いました。
まず個性的で特徴的なビジュアル(家紋)を前面に出して、そこから「これは誰の家紋か」「粟屋勝久ってどんな人か」「一乗谷一番乗りの武勲を挙げたほどの人物なのか」と歴史を深掘りすることもできますしね。
また「御城印はコレクションしていてもかさばらなくていい」というコメントもお城グッズコレクターだからこその視点です。うちにも全国各地のお城で購入したお土産グッズがたくさんありますが、お城グッズって立体的でかさばるものが多いんですよね(だからついついかさばらないクリアファイルを買ってしまい、未使用のものが大量に余ってるんですけど)。

大野さんはまさに両方の視点で御城印を見てらっしゃるわけですが、限定版の御城印を用意されたり、次々と新しいことを手がけられているので今後どんな展開があるのか楽しみです。

国吉城で販売されている御城印はこちらです。

kojodan.jp

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