攻城団ブログ

お城や戦国時代に関するいろんな話題をお届けしていきます!

「麒麟がくる」第9回に登場した那古野城と刈屋城、末盛城、妻木城はどんなお城か

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ひさしぶりの更新となります。
毎週欠かさず見てるんですが(だいたい2回ずつ見てるくらいハマってます)、新しいお城が舞台として登場しないと書きづらいんですよね。

今回の第9回「信長の失敗」ではオープニングで驚かされます。
いきなり「作:岩本真耶」といつもの池端俊策さんではなかったのに気づかれました? 同じく池端さんが脚本を担当されたNHK土曜ドラマ「夏目漱石の妻」でも第3話は岩本さんが脚本を書いてるので、弟子的な立場の方なのでしょうか。
また斎藤道三が出なかったのでクレジットの最後「トメ」は堺正章さんでした。それどころか十兵衛がぜんぜん出てこないので「もしや主役不在の回?」と思ったのですが、後半にようやく登場しましたね。

話の大半は尾張の出来事で、とくに信長と帰蝶がそれぞれ自分の父親とのコミュニケーションがうまく取れてないことで共感するという点は現代人にもわかりやすいポイントだなあと感心してました。
染谷将太さんの信長はいいですね。自分は正しいと思うことをしているのに(そして大局的にはそれはまちがってないはずなのに)相手に理解されず、また相手の気持ちを理解できない織田信長という人物を脚本家と役者が見事につくってました。
「ああ、この信長なら松永久秀や荒木村重はじめ、家臣たちの苦悩に寄り添えず、裏切られていくんだろうなあ」と純粋&不器用のキャラになっていましたね。ちなみにお父さんの信秀は「器用の仁」と呼ばれてたんですけど。

その織田信秀が末盛城(末森城)で信長と会うシーン、後ろに龍の絵(水墨画?)が描かれていました(ここに巨大な金碧画が描かれるようになるのは秀吉の時代です)。
その爪の数は3本でしたが、こういう細かいところもきちんとこだわってるんですよ。
龍の爪の数はもともと3本が基本でしたが、中国の皇帝の宮殿などに描かれる場合は5本です。紫禁城の九龍壁に彫られた龍は5本爪です。親王や地方の王は4本爪の龍を描くことが許され、たとえば琉球は中国の属国だったので琉球王の居城である首里城正殿の龍は4本爪でした。

ただ日本で3本爪の龍ばかり描かれているのは、さらに格下だからというわけではなく、遣隋使や遣唐使の時代に伝わった龍の絵を題材にしているからだと考えられています。
(龍の爪の数が4本、5本と増えるのは明や清の時代なので)

「麒麟がくる」ではほんとに細かいところまでこだわっていて、第7話で光安と牧が囲碁をしている盤面は本因坊算砂の棋譜をモデルにしているそうです。

龍の爪はぼくでも気づくことができたのですが、囲碁はぜんぜんわかりませんでした。
きっとほかにも詳しい人にしかわからない、こだわりのポイントがたくさんあるのでしょうね。

というわけで、ひさしぶりということもあり前段が長くなりすぎましたが、お城の紹介です。

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那古野城――跡地はいまの名古屋城内に――

先週の「麒麟がくる紀行」で紹介されていましたが、帰蝶が輿入れした信長の居城です。
織田信秀が信長に譲った城ですが、もともとは今川義元の父である今川氏親が築いた城です。氏親は北条早雲(伊勢新九郎盛時)の甥で、北条氏が関東に勢力を拡大するキーパーソンでもあります。
さらにこの地はのちに徳川家康が名古屋城を築く場所でもあり、出てくる名前がビッグネームばかりです。
ちなみに場所はいまの名古屋城の二の丸あたりで城址碑が立てられています。

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刈屋城――家康の生母の実家――

刈屋城(刈谷城)は竹千代(家康)の母である於大の方の実家です。水野信元は於大の方の兄にあたります。
家康が年上の女性ばかり好んだのは3歳で母親と引き離されたからだという説があるのですが、その原因をつくったのが信元です。
いまは「亀城公園」として公園化されているのですが、江戸時代の絵図が残っているので、櫓や門などを復元する計画があるそうです。復元してほしいなあ。

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末盛城――信長に敵対した弟の居城――

信秀の居城で、信長と帰蝶が呼ばれたのが末盛城(末森城)です。
第2回の「加納口の戦い」では古渡城が信秀の居城でしたが、この戦いの際に留守中の城下を焼かれたこともあり、あらたに末盛城を築いています。
再建するのではなく、別の場所に築城するというのがこの時代の人としては変わってますね。5kmほど東に移っているので、対三河の前線基地としての意味合いも強かったのでしょう。
なおのちに信長の弟に譲られるのですが、弟の名前は「信行」ではなく「信勝」でいくんですね。

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周辺のお城の場所はこれで確認するとおもしろいと思います。古渡城との距離だけでなく、那古野城とか清須城の位置を見てみてください。

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妻木城――妻木氏代々の居城――

十兵衛の妻となる煕子の実家です。
ぼくは未訪問なのですが、団員のみんなが投稿してくれた写真やクチコミを見るかぎり、苔むした石垣が見事なようですね。
また今回の「麒麟がくる紀行」でも紹介されていましたが、妻木氏は代々、陶器の生産を奨励したため、織部焼や志野焼など現在の美濃焼の基礎をつくったといわれています。
ちなみに明智城とは17kmほど離れてますので、米を運ぶのも大変だったでしょうね。

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