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【お城の基礎講座】22.鯱(しゃち・しゃちほこ)

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のイメージ...

天守の屋根には高貴な建物の象徴として、また火除けとして鯱(しゃち・しゃちほこ)が上げられました。
鯱は天守を火から守る想像上の動物です。
今回はその鯱について詳しく見ていきましょう。

破風の構造

鯱(しゃちほこ)とは

しゃちは、鯱、しゃち、しゃちほこ、鯱瓦など様々な呼び方がありますが、本ブログでは「鯱」で統一します。

鯱の正体

鯱は天守を火から守る想像上の動物です。
頭が虎、胴体が魚で、霊力があるとされています。
尾ひれが天を向いて、背中にはたくさんの棘があります。

付けられる場所

天守の大棟の両端に、向かい合わせで一対として飾られます
天守の象徴でなので、「上げる」と表現されます。
また天守を火から守る火除けとされています。
鯱は天守以外にも重要な櫓や櫓門にも上げられています。
鯱が上がっている建物は城内でもとても重要である、ということです。

何と言う?

鯱は、「しゃちほこ」とも「しゃち」とも読みます。
また鯱瓦(しゃちがわら)と言う場合もあります。
しゃちが尾を上に向けて鉾(ほこ)のようにピンと立っているため「しゃちほこ」と呼ばれるようになったそうです。
魚偏に虎と書いて「鯱」です。
ちなみに、海のギャング・海の王者と呼ばれるシャチとは関係ありません。

歴史

鯱を最初に天守に上げた城は安土城と言われています。
そして織田信長が初めて鯱を天守に上げたとされます。
安土城の天守の鯱には金箔が使われ、絢爛豪華だったようです。

鯱の構造と素材

鯱の素材などについて見てみましょう。

瓦製

鯱で圧倒的に多いのが瓦製です。
瓦で作られた鯱は中が空洞になっていて、鯱瓦とも呼ばれます。
瓦は割れやすいため、発掘調査でもほとんど破片しか出てこないようです。

その他の素材

軽量化のため瓦の他には木の土台に銅板を貼った鯱や、青銅製の鯱もあります。
銅板を張った鯱は、松江城天守、丸岡城天守に上げられています。
青銅製の鯱は、掛川城天守に上げられていました。

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▲ 丸岡城天守の鯱。昭和27~30年の修復時に復元された銅板張りの鯱。

金の鯱

名古屋城の「金のしゃちほこ」「金しゃち」は、おそらくもっとも有名な鯱だと思います。

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▲ 名古屋城天守の金シャチ(写真のものはレプリカ)。現在の外観復元天守には二代目の金シャチが上げられている。

金しゃちは、寄木(よせぎ)で作った土台に金の板を張って作られていました。
慶長大判金1940枚、純度80パーセント、小判にすると17,975両に値します(純金換算で215.3g)。
また、全国的にも珍しく雌雄の区別があるのも特長です。
なお、現在の金しゃちは1959年(昭和34年)の外観復元天守を建てたときに復元されたものです。
鯱一対に使われた金の量は88kgだそうです。
金の鯱は現存していませんが、安土城、豊臣大坂城、広島城、岡山城にも挙がっていたと思われます。

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▲ 大坂城復興天守には金の鯱が上げられている。かつての豊臣大坂城天守にも金シャチが上げられていたらしい。

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▲ 岡山城外観復元天守。金の鯱が上げられている。かつてもこのような姿だったのだろうか

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▲ 清洲城模擬天守。信長の居城だったためか、模擬天守にも金の鯱が輝く。

 

まとめ

鯱は頭が虎、体が魚の空想上の生物ですが、火除け・守り神として天守に付けられています。
その素材は瓦製がほとんどですが、金の鯱で有名な名古屋城のように装飾としての意味もありました。
形は様々なので、各地のお城の鯱を見比べるのもおもしろいかもしれませんね。
ということで、鯱がお城を守ってくれているんだよというお話でした。
じゃあね🖐️

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