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【江戸時代のお家騒動】越前騒動 市川雷蔵主演映画にもなった史上名高い殿ご乱行

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【時期】1623年(元和9年)
【舞台】福井藩
【藩主】松平忠直
【主要人物】松平忠直、今村盛次、本多富正

譜代VS新参家臣団の2大派閥による主導権争い

徳川家康の次男・結城秀康の子である松平忠直は1607年(慶長12年)に父の死を受けて家督を継ぎ、68万石を譲り受けた。
忠直の「忠」の字は将軍・秀忠から一字を賜ったものであり、また1611年(慶長16年)には秀忠の三女・勝姫を正室に迎えており、彼の「特別扱い」がよくわかる。

この時の騒動は、重臣同士の勢力争いだった。
まず、領地問題から領内で1万石を有する久世但馬と、町奉行の要職にあった岡部自休が対立。これがきっかけとなり、藩内の派閥抗争が激化する。
すなわち、但馬が所属していた本多富正派と自休が所属していた今村盛次派が藩政の主導権をめぐって激しく争い始めたのだ。

この問題は藩を2分する大事となる。1612年(慶長17年)に下った幕府の裁定は「富正の主張を認め、盛次派を一斉処分する」というものだった。盛次は磐城平鳥居家預かりとされ、自体は死罪、他の者も他家預かりや配流など厳しい処分となった。
事件の結果、秀康時代に勢力を獲得した新参の家臣団が取り除かれ、代わって徳川代々の譜代である本多家出身の富正をはじめとする徳川系家臣団が強い力を持つようになった。
これにより忠直の権力基盤はむしろ安定するという皮肉な結果に終わったのだ。

忠直に正室の勝姫暗殺計画の嫌疑かかる

しかし越前騒動はこれでは終わらなかったのである。
1615年(元和元年)の大坂夏の陣において、忠直は豊臣側で名を馳せた真田信繁(幸村)の首級をあげ、また大坂城一番乗りを果たす大活躍を見せた。これには祖父・家康も忠直の功績を称え「参議に昇格させ、恩賞は後ほど伝える」と口約束をした。

だが翌1616年(元和2年)、家康が亡くなってしまったのでこの口約束はうやむやになり、彼が本当に期待していたであろう領地の加増はなかった。参議への昇進だけでは「戦果をあげた部下に褒美を渡すことができない」と不満を感じた忠直は、幕府および徳川宗家に対して強い反発心を覚えるようになる。
もしかしたら「父・秀康は将軍・徳川秀忠の兄として本来なら将軍職を継ぐべき人間だった」というプライドも、そこにはあったかもしれない。

それからの忠直の行動は芳しくないものとなっていく。
1618年(元和4年)には大名の義務である参勤を怠るようになった。素行も悪くなり、近習を手打ちにすることもあったそうだ。このような彼の振る舞いについては大名たちの間でも評判になっており、いくつかの書状に彼がわがままに振る舞っていたことが記されている。

また、女性関係も派手になり、妾が数百人いたという。中でも一国という女性に夢中になってしまい、秀忠の娘である正室・勝姫との不和が問題となってくる。
特に衝撃的なエピソードが、1622年(元和8年)に黒田局という女性を殺害した一件だ。ただ女性を殺したのではなく、忠直による勝姫暗殺の噂があったため黒田局が勝姫の身替わりをしていたので殺してしまった――というのだから、とてつもない。
将軍家の女性に刀を向けたのだから、幕府そのものへの反逆と受け取られても仕方がないといえよう。

結局、これらの素行不良をついに叔父・秀忠もかばいきれなくなり、改易処分ということになった。
この決断をするまでに、秀忠は忠直の母と話し合いをしており、忠直には母自らが改易になった旨を言い渡したそうである。

忠直は賄料(まかないりょう)5千石を与えられ、強制的な隠居と豊後への配流を申し渡された。しかし九州へ流された後も彼の振る舞いはあまり変わらなかったようで、周囲や家臣とのトラブルなどもあったらしい。
また、新しく3人の妾を作り、彼女たちとの間に子供をもうけてもいる。そしてそのまま、配流地で亡くなるのだった。

ちなみに、忠直の処分は通常なら藩そのものが潰されてしかるべきものであったが、立場が立場であるだけに福井藩は残され、嫡子の仙千代(元服して光長)が継承している。
この事件は幕府からの介入によって決着したわけであり、本来は六章で紹介するべきだったのかもしれない。しかし改易の原因が藩主個人の問題にあったとされることなどから、七章のケースと共通する部分が多いと感じ、ここに入れることにした。

なお、忠直の乱行に関するエピソードは、市川雷蔵主演で『忠直卿行状記』として映画化された。
原作は同名の小説で、1918年(大正7年)に発表された。
忠直の粗暴な振る舞いの陰には彼の苦悩があったことなど、近代的な解釈が加えられたものとなっている。

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