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【歴代征夷大将軍総覧】室町幕府12代・足利義晴――各地を転々とした、名ばかり将軍 1511年~1550年

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都合よく呼び戻された将軍

11代将軍である足利義澄の子で、幼名は亀王丸。
義晴が生まれたのは、義澄が京都を追われて近江久里備前守の屋敷に滞在していたときのことだ。母親は、この屋敷で義澄の世話をしていた身分の低い女性だと考えられている。

生まれて間もなく、義晴は危険を避けるために父と別れて播磨守護の赤松氏のもとへ預けられることとなった。義晴を播磨に送り出した後、義澄は病没してしまうので、これが今生の別れとなった。
義晴は逃げ込んだ先の播磨で養育されることになるが、そこも決して安全とは言えなかった。守護代の浦上氏が勢力を伸ばし、播磨守護である赤松義村を居城・白旗城から追い出したのである。このとき義晴は9歳であり、義村につれられて衣笠氏のもとへ逃れたという。

そのころ京都では、大内義興が領国へ戻り、将軍・足利義稙が阿波に出奔したため、管領である細川高国が政権を握っていた。そして、空席となった将軍の座を埋めるため、高国が目をつけたのが義晴であった。
高国が浦上氏に「義晴を上洛させてほしい」と頼み、浦上氏が養育者である義村から義晴を奪いとる形で上洛させることになった。

京と近江を行ったり来たり

こうして入京した義晴は、亀王丸から名を改め、11歳で将軍に就任した。
高国は義晴のために、新居となる柳原邸の造営を許可するなど厚遇したが、将軍家の家宝である御小袖(おんこそで=白糸の大鎧)が義晴に与えられたのは就任から3年も経った後のことであり、このあたりに将軍の権威の低下を窺うことができる。

そんな義晴の音難が始まるのは1526年(大永6年)のことである。
始まりは、細川家臣の細川尹賢(ほそかわ ただかた)と香西元盛(こうざい もともり)が争い、ついには元盛が謀殺されるという事件だった。これは尹賢が、高国に寵愛されていた元盛のことを気に入らなかったというのが原因だったらしい。そのため尹賢は元盛の右筆を買収し、元盛に謀反の疑いがあるという偽の文書をつくらせ、これを高国に報告したのだ。
結果、高国は尹賢の訴えを事実だと思い込み、元盛を殺害してしまう。

これを知った元盛の兄弟はそれぞれ城にこもり、高国に敵対する姿勢をとった。幕府は諸勢力に出陣を要請し、兄の波多野稙通(はたの たねみち)がこもる八上城と、弟の柳本賢治(やなぎもと かたはる)がこもる神尾城を攻めた。
しかし夜襲をかけられたり内通者が出るなどして、幕府軍はあえなく敗退。加えて、これに乗じた三好氏などの四国勢力が京都に迫ってきたため、義晴は高国らとともに近江に一時避難することとなった。

一方、京都に進出しつつあった四国衆は、義晴の異母兄弟にあたる足利義維(あしかが よしつな)を擁立して高国に対抗しようと企んでいた。これを知った義晴は5、6万人の軍勢をつれて近江国の坂本に布陣し、義維の軍勢と合戦を繰り広げる。
いったんは和睦の兆しも見えたが、抗戦派の主張により成らず、結局敗れてしまった義晴勢は朽木(くつき)に逃れることとなった。

細川氏の勢力争いの道具に過ぎず

その後も義晴と高国らは、京都奪回を目指して各地を転々とすることになった。特に高国は、柳本賢治のもとに刺客を送り込んで暗殺したり、先の戦いで抗戦派だった細川晴元(ほそかわ はるもと)の諸城を浦上氏とともに攻め落とすなど、義晴の京都奪還のために尽力する。
しかし1531年(享禄4年)、天王寺合戦で晴元に敗北した高国は、自害に追い込まれてしまった。

1534年(天文3年)には、義晴は晴元と和睦を結び、上洛することができた。これは結局のところ、畿内で繰り返されていた争いの主役は高国と晴元というふたりの細川氏の人間による主導権争いであって、義晴はその主要人物ではなかった、ということを意味している。
しかも、実のところ畿内の勢力争いは未だ続いており、情勢は不安定だった。そのため義晴は、諸勢力の間を渡り歩きながら、京都と近江の行き帰りを繰り返すこととなる。このような流浪の人生だったことから、義晴には将軍としての実権はほとんど備わっていなかったようだ。

1546年(天文15年)には息子の義輝に将軍職を譲り渡したものの、3年後には三好長慶(みよし ながよし)に京都を追われ、父子ともども近江に逃れた。
義晴はそのまま3度と京都の土を踏むことはなく、1550年(天文19年)にこの世を去った。
その死の間際、京都に鞠のような光の玉が現れ、西方に飛んでいったという逸話がある。

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