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【「籠城」から学ぶ逆境のしのぎ方】城をめぐる戦いの様相②――力攻めはスピードがメリット

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このように万全の状態で待ち構えている籠城側に対し、攻城側はどのような攻め方で挑んだのだろうか。
ここからは城攻めの各種手段と、それに対する籠城側の対処について見ていく。

最も基本的な手段は力攻め――数をそろえて城に押し寄せ、門を破って塀を乗り越え、城を落とすことである。
戦力に圧倒的な差があれば、各種の奇策を用いるよりもとにかく早く城を落とせる手段となる。とはいえ、籠城側も力攻めには十分備えている。塀や壁に隠れて石や矢や銃弾を撃ち込み、槍や刀を向けてくるため、なかなか簡単には落とせない。
結果、力攻めは攻城側にとって大きな損害が出るリスクの高いものになるため、以下のような各種の手段を併用して、なるべくリスクを避けようとする。

まずは「奇襲(俄攻め=にわかぜめ)」だ。籠城側の思いもよらないタイミング、予想していない方向から攻撃ができれば、攻城側は損害を抑えて勝利できる可能性がある。
城に何か弱点があれば(攻撃を集中できる場所がある、など)そこを狙うだろうし、源平合戦における源義経のように高い崖を降りて敵の背後を突く、という戦法もあったろう。奇襲の定番といえば夜に敵を攻撃する夜襲だが、現代のように便利な明かりや暗視装置などない時代のこと。実際には払暁――明け方に行うことが多かったらしい。

城の防御力を無効化する方法をさらに突き詰めたのが「おびき出し」だ。
籠城側は城に籠もっているからこそ有利なのだから、そこから出してしまえばいい。では、どうすれば籠城側は折角の有利を投げ捨てて城の外に出てくれるだろうか? 答えは挑発だ。
意外かもしれないが、戦国大名はこれで結構、名誉や名声を重視する。本質的には独立勢力である地付きの国人武士たちを家臣として抱えている関係から、名誉を傷つけられてなお何も対処をしないと、「あの大名はその程度か」と甘く見られ、裏切られてしまう可能性が十分にあるからだ。

攻城側はそこを突いて挑発する。すなわち、城下を焼き、先祖代々の菩提寺などを破壊し、田畑の作物を勝手に刈り取る。こうなると、籠城側はこれを放置できない。
あるいは、本城ではなく支城を包囲して「救いにいかないといけない」状態に追い込み、後詰決戦に持ち込むのも、おびき出しの一種といえるかもしれない。

これと似たような考え方に「巻攻め」がある。
この際は三方向を包囲し、あえて一方向だけ逃げ場を作ってやる。人間、完全に追い詰められれば死力を尽くして戦おうという気にもなるが、「もしかしたら逃げられるかも」となればあるものは逃げ出し、またあるものは気力が失せて、全体の士気も下がろうというものだ。
ただ、わざわざ空けた穴を突いて物資や援軍が入っては元も子もないから、そういうことがないように監視をしておく必要はある。

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