攻城団ブログ

お城や戦国時代に関するいろんな話題をお届けしていきます!

城葱さんの「城もなか」道中記【関東編】

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前回の東北につづいて今度は関東編です。というか城葱さんの城もなかに対する情熱がすごい。
東北の城もなかめぐりだけでは物足りず、関東エリアの城もなかを求めて出かけてきたそうです。アツいレポートをどうぞお読みください!

今回は関東地方で「城もなか」と出会う旅に城めぐりをしながら行ってきました。
東北への旅の帰り道、なんだかもっと多くの城もなかに出会いたい! という気持ちがどんどん膨らんでしまい、せっかくの大型連休を1日たりとて無駄にしたくないと、行ける範囲でできるだけ行こうと思い立ち、関東の旅を急遽計画して出立しました。

まずは茨城県へ、そしてまた別日に長野県から山梨県へと、いつもの鈍行電車で揺られ、城をめぐりながら日本100名城(続日本100名城)スタンプ押しつつ、御城印をゲットしつつ、関東を東へ西へと走り回って、城もなかとの出会いを楽しんできました。

柿岡城の城もなか

銅山堂さんの「柿岡城最中」

1個 150円

パッケージの柿岡城のシールが「柿色」で味がある!!
いうまでもありませんが、柿岡城をイメージしているとのこと。

皮は毎度おなじみ、定番のザ・城もなか「三層角右寄り型」です。

※三層角右寄り型
三層の天守(櫓)であり、石垣の角が、中央より右側によっているもなかの皮の型のひとつ。

餡は白餡ベースの柿餡(かきあん)です。
柿の細かなブロックがちりばめられており、触感や風味に変化をもたらしてくれます。
「うぉー柿!」じゃなくて、「あっ、柿!!」といった感じで、ほどよい存在感。
城もなかで柿の餡はここだけだろうと思うので、柿好きにはぜひ買い求めてほしい逸品。

柿は柿岡も含む「八郷産」の柿を使用しているということで、ご当地餡&特産餡です。
皮はよく見るタイプですが、中身の餡はかなり珍しい特産餡をつかっているという、城もなかも見かけによらないなという新進気鋭の斬新なスタイルです。

この城もなかを販売している「銅山堂」さんは柿岡城のすぐそばにあります。
柿岡城を攻める際には立ち寄ってみてください。

ただし注意点がひとつ。行く前に、ぜひ電話で取り置きを依頼してください。
私はお昼12時前後にお邪魔しましたが、残り1個という状況でした。
これは大大大人気商品なのです!
ここまで早い売れ行きはきっと城もなか界のスーパースターです。

お店に在庫はないのか確認しましたが、出ている限りということでした。
私の場合はギリギリセーフでしたが、気を付けないと柿岡城に行ったものの、城もなかを買えずに帰ることになってしまいます。
買い物している間にも、何人も新たなお客様が訪ねてこられていたので、あと少し遅れていたら手に入れられなかったかもしれません。そう思うと恐ろしくなりますし、少し甘く見ていた、準備不足だったと反省せざるを得ません。
こわい、こわい。冷や汗もんです。

とはいえ、最後の1個で残っていてくれたことは運命的な出会い。
この出会いを最大限に生かすため、大切に持ち帰り、じっくり味わったというわけです。
初めての味、貴重さ、ラスイチであったことも重なって、美味しさもひとしお。思い出深い城もなかのひとつとなりました。

ちなみに柿岡城や銅山堂へのアクセスは、車を使わないとなかなか困難です。
私の場合は幸いにも天気に恵まれていたので、石岡駅の観光案内所でレンタルできる電動自転車で攻め込みました。といっても、まず天気に恵まれているほか、けっこう長い道のり(約11km)でアップダウンが激しい道なので、ある程度の覚悟が必要です(途中で自転車を放棄してタクシーやバスというわけにはいかないので)。時間的に余裕があれば、バスを利用するのもありです。
ただ苦労していけば、お店にようやくたどり着いたときの嬉しさは倍増です。

銅山堂(茨城県石岡市柿岡2024-1)
営業時間 9:00~18:30 / 定休日 水曜日、第二火曜日 / 0299-43-0153

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柿岡城への城攻め

柿岡城跡には小学校が建っています。そのためほとんど遺構はないのですが、片隅に土塁と堀の跡があり、わずかでも残る城の在りし日の姿に思いをはせます。
そのほか地域全体が丘陵地帯となっており、小学校が丘の上に立地していることから、そこが城跡であったことも納得といった感じです。

小学校から少し離れた、これもまた小高い丘の上に神社があり、柿岡城があったころの見張り台だったとのこと。
遠目に見ても突出して高い場所であることや、そこから見晴らしがよいことも城跡感を感じさせてくれます。

諏訪高島城の城もなか

園月堂本舗さんの「湖城もなか」

諏訪高島城の城もなかは、園月堂本舗さんの「湖城もなか」です。
パッケージの墨書きの城のデザインがかっこいい。

1個 115円

皮は「四層角左寄り型」です。
「このタイプのもなかの皮、どこかで見たことある!」と過去のデータをひっくり返してみてみると、掛川城の城もなか、伊藤菓子店さんの「掛川城もなか」と同じです。

(参考)掛川城もなか

こういう発見もなんだか城もなかと城もなかの知られざるつながりを見たようで、そしてこのつながりの理由は何だろう、皮の仕入れ先が一緒なのか、型のメーカーが同じだけで製造場所は違うのか、それとも奇跡の一致ということはないだろうから、お店同士で交流や師弟関係、親戚関係だったりするのだろうかと想像したりして、楽しくなります。

餡は、白餡。
白餡のみで、粒餡がないのがまた珍しい。城もなかに限らず、一般的に最中にはまず粒餡があり、別味として白餡バージョンが用意されていることが多いが、白餡一本というところがお店のこだわりを感じずにはいられない。
そして非常に滑らかな口当たり。
(原材料には、白生餡と小豆練餡とあり、少し小豆餡要素がブレンドされているのかもしれない)
(自分の和菓子の専門知識のなさに困ることがよくある。食べているだけでは、わからないことが多すぎる。作る側に立たないとわからないのか……、これからも勉強が必要だ)

園月堂本舗 福島店

園月堂本舗さんへは、諏訪高島城を堪能したのち、福島店の方を目指しました。
徒歩で向かいましたが、まぁまあ遠くて40分くらいでした。
なお福島店から上諏訪駅まで、また徒歩で帰る途中、清水店も寄ってきましたが、商品的には同じものがあったので、徒歩で向かわれる場合は諏訪高島城から徒歩20分弱の清水店の方がよいかもしれません。

園月堂本舗 清水店

駅から城までの間ではなく、少し離れたところにあるので意識して向かう必要があります。
城もなかのため、また城下町を少しでも堪能するため、ぜひ足を延ばしてみていただければと思います。

園月堂本舗 福島店(長野県諏訪市中州5398-1)
営業時間 9:00~19:00 / 定休日 不定 / 0266-58-1547

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園月堂本舗 清水店(長野県諏訪市清水1-2-12)
営業時間 9:00~19:00 / 定休日 火曜日 / 0266-52-1543

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諏訪高島城への城攻め

諏訪高島城は上諏訪駅から徒歩で向かいましたが、北側から近づくとこの堀と小天守跡に出る瞬間が、とてつもなくアドレナリンが分泌されてる気がします。
諏訪高島城の復興天守の茶色と白の壁のカラーコンビネーションがおしゃれでやわらかな感じがしてかっこいいです。水堀から高く立ち上がる石垣のどっしりした感じも好きですね。

そのほかの諏訪高島城の城菓子

甲子堂菓子店さんの「湖の浮城」

こちらは日本三大湖城のひとつでもあり、かつては諏訪湖に突き出した水城だった諏訪高島城の別名「諏訪の浮城」にちなんだ城菓子で、手作りタイプのもなか。
なお、湖とかいて「うみ」と読ませるようだ。
正方形の皮には、諏訪湖の水面だろうか、渦巻きのような文様が彫り込まれています。

1個 160円

餡は粒あん。別包装されていて、食べる時に餡を皮の上に絞り出し挟み込んで、もなかを手作りするタイプ。
手作りタイプのため、パリパリのもなかを好きな時に味わえる。手土産にもいいかも。

園月堂本舗さんから駅までの帰り道に、ビビッと城菓子アンテナが反応し「ここありそう!」と来店して偶然発見した奇跡の逸品。
ネーミングもさることながら、パッケージもこれぞ城菓子らしい、お城の絵がしっかりと描かれています。上品なお店の雰囲気そのままの、上品なお菓子です。
パッケージの紙の箱の外側にさらに薄いベールがかけられていて、高級感が漂うだけじゃなく、霧がかった諏訪高島城にもみえなくもない(そういう意図ではないと思いますがw)

甲子堂菓子店(長野県諏訪市12-9)
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 水曜日 / 0266-52-0920

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新府城の城もなか

萩原製菓さんの「新府城もなか」

新府城の城もなかは、萩原製菓さんの「新府城もなか」です。
透明な袋に商品名がラベリングされているシンプルな包装だが、ひと目で城型のもなかがわかり、お店の多彩な商品の中でも城もなかの存在感をバシッと感じられるパッケージ。

1個 123円

キャッチコピー的に「武田の里」と書いてあり、かっこよく「武田の里を代表してます!」といわんばかりの外装がまた特徴的です。

皮は定番の三層角右寄り型。

餡は自家製のつぶし餡。

萩原製菓さんは新府城からは少し離れたところにありますが、国道沿いの目立つところに立地しており、比較的見つけやすいのではないかと思います。
また私が行った時がたまたまなのか、いつもなのか分かりませんが、目立つ複数の暖簾旗が軒先に垂れており、おしゃれな、威勢のいい感じのお店だと思いました。

ちなみに韮崎駅でレンタサイクルを借りて、新府城→萩原製菓店さん→獅子吼城(ししくじょう)へと向かいました。
徒歩よりは早く動けるのですが、新府城や獅子吼城まではアップダウンが非常に激しい丘陵&山の麓の地域。電動のレンタサイクルの方が断然いいです。
(私は無謀にも非電動レンタサイクルでチャレンジし、新府城や萩原製菓店さんまでは問題なかったのですが、獅子吼城は途中で何度も投げ出しそうになるほど苦しい坂道が延々とありました……。なんとか行けましたけど)

萩原製菓(山梨県韮崎市中田町小田川1409)
営業時間 8:00~19:00 / 定休日 無休(都合により休みの場合あり) / 0551-25-5547

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新府城への城攻め

新府城の目玉は、やはり武田の城の特徴ともいわれる「丸馬出(まるうまだし)」。じっさいに目にすると、大きく美しい姿にほれぼれすること間違いなし。最大の見どころだと思います。
自転車で来た自分の疲れを吹き飛ばしてくれる迫力がありました。

多くの方が歩かれているのか、城跡はルートに沿って全般的に踏みならされていますが、それ以外のところは草がかなり生えていて、ちょっと行けないなという感じでした。
もしかすると時期的には地元の保存会的な方々が草刈りしてくれてきれいに見れるのかもしれません。

そのほかの新府城の城菓子

萩原製菓さんの「新府焼米」

新府城が落城する際、武田勝頼は新府城に火を放ち退去しました。
その際に新府城の軍用米が焼け、拾って食べたという伝承を基に、悲運の武将・武田勝頼を忍んで創作された、黄身餡饅頭の城菓子。焼き米ということで、焼いたお米が饅頭の表面にまぶされている。

焼いたお米が見た目にも、また食べた時の触感や風味も独自性が際立っている。焼米は、やわらかすぎず、硬すぎず、食べてやんわりといった感じ。
その変わった見た目や地元の伝承とのリンクから、お土産としても人気。萩本製菓さんの看板商品といってもいいと思います(城もなかでないのは悔しいもののw)。

なお、お店のホームページによるとお土産などでお持ち帰りされた場合は、食べる前にホットプレートやフライパンで加熱するか、電子レンジで1分程度チンするとおいしく焼き立てな感じでいただけるとのこと。

萩本製菓さんは城菓子以外にも多種多様なお菓子を取り扱っておられるので、お店に行けば目移りしてしまうほどいろんなお菓子の買い物をエンジョイできます。
(私も城とは関係ないものの、おいしそうな団子や饅頭をたくさん買ってしまいました)

かつての城もなか

今回の関東での城もなか道中では、下調べでは城もなかの気配を感じていたものの、じっさいにお店に伺ったら入手不可能となっていた城もなかがいくつかありました。

1.土浦城の城もなか

すぎやまさんというお菓子屋さんでかつて製造されていましたが、今はもう作っていないそうです。
いちおうお店に行って確認してきましたが、製造休止ではなく、終了したとのこと。
また何かのきっかけで復活したらいいなぁと願うばかりです。

2.宇都宮城の城もなか

餃子パイで有名な梅月堂さんで、かつて製造されていましたが、今はもう作られていません。
こちらもお店に行って確認してきたのですが、名物となった餃子パイ一本という感じでした。
(たしかに餃子パイはおいしかったし、斬新。地元の名物である餃子ともリンクしていて、いいお土産だと思いました)

ご主人にお話を伺いましたが、若者の和菓子離れもあり、もなかをはじめ和菓子はなかなか売れ行きが振るわない一方で、たくさん作らないと経済的じゃないし、たくさん作っても売れないと赤字になっちゃうというようなお話で、ごもっともだと思います。

とはいえ、個人的には何とか復活を期待したいところ。
復活には、大量注文が必要。宇都宮城での全国規模の城イベントとかがあって、その記念に発注とかでしょうか。それでも、実現するには、なかなか難しいよな……。

3.壬生城の城もなか

なからい菓子店さんで、かつて製造されていました。
「半井」文字が浮き彫りされており、ご主人がデザインされたという完全オリジナルの型で、餅を原料として皮を焼かれ、餡も季節に応じて配分を変更していたという手の込んだ城もなかでした。
残念ながら約60年の歴史に幕を下ろし、2020年7月に店じまいされておられました。

くー、オリジナリティめちゃくちゃあったので食べてみたかったなー。
YouTubeに店じまいされた、なからい菓子店さんの店主ご夫婦のインタビューがアップされているのでご参考までに。
見れば見るほど店主夫婦のこだわりと思いに興味がわいてしまう。そしてすごく悔しい。


www.youtube.com

おわりに

今回の関東編では東へ西へと関東横断の道中で、念願の各地の城もなかとの出会いもありつつ、今はもう手に入らなくなってしまった城もなかの厳しい現実を目の当たりにもしたわけです。

  • なかなかマニアックな城「柿岡城」の、オリジナリティあふれる柿餡の城もなか
  • 迫力ある復興天守の日本三大湖城「諏訪高島城」の、独特かつ他の城もなかとの類似性を感じる皮の城もなか
  • 巨大で見ごたえある丸馬出しの武田の城「新府城」の、伝説から生まれた有名城菓子とともに城跡を盛り上げる城もなか

と個性あふれる城もなかたちとの出会いがありました。
まだまだ関東には個性豊かな城もなかが眠っているはず! そう思うと楽しみで仕方ありません。

一方、もう手に入らなくなってしまった城もなかについては、関東は人口こそ多いもののその分、流行り廃りも激しいのかなと思いました。
なかなか厳しい和菓子業界でも、城もなかが生き残っていく道ははたしてどの程度あるものなのか、考える機会となりました。

特に何かできるわけでもないのですが、私の城もなか探しやそのつぶやきや、この道中記などが、世間一般に「城もなか」というものがあること、また少しでも手に取って食べてもらえることのお役に立てればと願うばかりです。 
また未知なる城もなかを求めて、そして城もなかが盛り上がっていく方法を自分なりに考えながら、まだまだ攻め足りない無数にある城をどんどん落としていきたいなと思っています。

ぜひ、みなさんも、関東での城攻めの機会には個性豊かな城もなかをご堪能くださいませ!
この記事をご覧になった方々が、城もなかを通じて、城が愛される地域文化に触れるきっかけとなり、あらたな次元の城めぐりの世界が広がればと思っております。

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城めぐりのおともに「城もなか」を!
よき「城もなか」との出会いがありますことを祈っています。

ぜひみなさんも城もなかや城菓子の感想をTwitterなどでつぶやいてくださいね!

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