攻城団ブログ

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城葱さんの「城もなか」道中記【千葉県編】

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「城もなか」を求めて全国を飛び回る城葱さんが今回向かったのは千葉県。佐倉城と館山城という南北に位置するお城の城もなかを紹介していただきます。
給食のデザートに城もなかがついてくるとか、ちょっとびっくりする話も登場しています。
おいしそうな城もなかの写真とあわせてじっくり楽しんでください!!

今回は千葉県の城もなかと出会う旅に出かけてきました。
佐倉城の城もなか、そして館山城の城もなかです。
千葉県の北と南に各々存在しており、それぞれ独自の存在感を漂わせています。
ふたつの城もなかとの出会いもまたとても心に残るものとなりました。

千葉を縦断する長旅となりましたが、それだけの価値のある旅でした。
さてさて今回は、どんな城もなかと出会うことができたのか、そしてその城もなかが生まれた2城はどんなお城なのかについて、たっぷりとご報告させていただきます。

佐倉城の城もなか

「佐倉十一万石最中」(蔵六本舗木村屋)

税込150円

皮は、細かい装飾までしっかり彫り込まれた型で作られたのであろう三層角左寄り型!
彫り込み的には各々の溝はぼんやりしているので、粗密でいうと粗の分類となりますね。

豪華な破風や高欄も皮にはありますが、佐倉城の天守閣の模型ではそういうものはないので、イメージのお城の皮ということになるわけです。

ただ、じつは佐倉城の天守は焼失していて、発掘された礎石や、佐倉から古河へ転封となった土井利勝が、佐倉城の天守(御三階櫓)と同じ姿で建てたといわれていることから、古河城の天守を模して佐倉城天守の模型としているとのこと。
そのためこの模型も佐倉城の天守の姿かわかりませんが、せっかく模型でもシンプルな天守を示しているので、皮もそっちに忠実に合わせてもいいのではないかと個人的には思います。

たしかに装飾ある方がお城らしく迫力や煌びやかさが増すとは思いますし、これまでの経緯やこの皮の型への思いもあると思うので、この独特な皮も大事にしていきたいところですね。

参考: 佐倉城の案内所にある天守閣の模型

パッケージは透明なプラスチックですが、佐倉城の在りし日の姿の天守と石垣に塀のイラストが描かれている。
これだけでも城もなか感が高まってくる。

さらに佐倉十一万石最中の注目したい点は、箱買いの箱です。

真っ赤な箱に、これでもかと城の名前と家紋、石高、城主の名前が書き詰められている。
インパクト大。勢いと全国の城の総まとめのような代表感がある。
これだけ目立つ城もなかの箱をかつて見たことがありません。黒く塗られているところが、佐倉城を表しているわけですが、同じデザインで塗る城を変えれば、他のお城の箱にもなるなーなんて考えてみたり。

忍城や松本城、丸亀城など、城もなかがあるお城も多く記載されているので城もなかの定番の箱になったりしないかなーなんてことも考えたりしました。

なかなかしっかりしている箱ですし、飾ってもよい!
ぜひお買い求めの際には、箱買いを!

佐倉城が十一万石であったことが箱からもわかりますが、城もなかの名前にまでなっているから、忘れられませんねー。

あんは、粒あん。
皮にぎゅうぎゅうではなく、フワッと挟まれている感じで、皮とあんに空間があります。
パリパリ感が失われにくい構造です。

さて。この城もなかは、他にも類を見ない大役をになっています!
それは、学校給食として提供され、佐倉の城下町の歴史と郷土の誇らしい食文化を若き童たちに身をもって伝えていること!

なんと佐倉市では、毎年11月16日の佐倉市教育の日付近で市内の学校の給食に登場しています。年一度の行事食となっており「お城の最中」が出ることを楽しみにしている児童・生徒もいるそうです。
あんは、給食オリジナルで、しかも学校それぞれで違うみたい。地場産物の「さつまいも」が多いが、地場産物の「やまといも」を使ったものや、あずきの餡を詰める学校もある。白玉付きのところもあったよう!

そんな給食、楽しみに決まってるやーん!
羨ましいぞ、佐倉市の小学生。私も小学生になれるなら、ぜひ食べてみたい!
学校ごとに異なるあんの城もなかを食べ比べたい!!
「さつまいもあん」「やまといもあん」なんてオリジナル感、特別仕様感が半端ない!

徳川家康の命を受けた土井利勝(どいとしかつ)によって1610年(慶長15年)から約7年の歳月をかけて佐倉城を築いたと言われていたことから、佐倉市では2010年(平成22年)から7年間にわたり実施した「佐倉・城下町400年記念事業(平成22年~28年)」の中で、市内の学校給食で「佐倉のお殿様献立」と題して、城下町・佐倉にゆかりのある料理や食材を給食に取り入れたそうです。その献立の一部としてお城の最中を出すようになったらしい。

「佐倉・城下町400年記念事業」とともに「お殿様献立」は終了したが、北総四都市(佐倉・成田・佐原・銚子)が日本文化遺産に登録されたことをうけて「城下町佐倉・江戸ぐるめ献立」という給食の行事食の中で使用されています。

佐倉城の城もなかを作っている木村屋さんと取引のあった学校がきっかけとなり、給食での城もなか提供につながったようなので、地元お菓子屋さんとのコラボレーションだ。
そんな地域の連携、支え合いも子供たちに伝わるといい!
佐倉のことを学ぶ「佐倉学」の教育と合わせて、食育としても役立つ、お城もなか給食!
城もなか好きがどんどん生まれてくれるといいな。
今後も、城もなかの先進事例として継続してくれたらうれしいです!
(一部、佐倉市教育委員会に教えていただきました)

ほかのお城のある市町村でも、取り入れてほしいなぁ。城もなか給食をきっかけとした食育、地域教育。
そんな日が来ること夢見ていますw

さて買ったところは、蔵六餅本舗木村屋さんの佐倉市新町のお店。
佐倉城からだと、佐倉城の大手門跡のある旧佐倉街道を東に向かい、国道296号と合流する新町の交差点で、食い違い虎口のように北にクランクして進むと、100mも行かずに右手にある。
見落とせないほど風情のある存在感です。

店内の城もなかは、ショーケースに入った堂々たる姿。
朱色の盆に乗せられているのがまた高級感と威厳が伝わる。

お店の奥には、江戸後期に建てられたという蔵が公開されており、お店の人にお願いすれば見せてもらえる。
銀座木村屋の2号店として明治6年に創業され、昔から地域のお菓子屋、佐倉市を代表するお菓子屋として繁栄してきた老舗の和菓子屋ならでは。

直接城もなかと関係は薄いけど、古くから伝わる、皿や古九谷な盃などの年を重ねてきた品々が展示されている。
蔵の雰囲気も古き和の空気を感じられるので、ぜひ見学していってください。

しかもお菓子屋さんの奥なのでお菓子屋の製造場所もチラリと見ることができるので、お菓子を愛する方々にはまさにバックステージツアーみたいな特別感を味わえます。
(余計なことしたり、余計なところに行ったりしないように!)

おかみさんにもお会いでき、色々と歴史や思いを伺うことができた。
菓子の箱折作業を拝見したが、さすがのなれた手つきにずっとこうやって支えてこられたのだろうな、菓子のまわりにはこういった職人技もあると気がつかされるひと時でした。

蔵六餅本舗 木村屋(千葉県佐倉市新町222-1)
営業時間 9:00~17:00 / 定休日 水・元日(毎月10日、お盆、年末年始は営業) / 電話 043-483-1803

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なお工場および支店として鏑木店が、より駅に近い方にある。
佐倉駅からなら、駅から北に伸びる彫刻どおりを北に進み、これまた国道296とぶつかるので右へ曲がって100m強、右手。旧佐倉街道とぶつかる交差点にある。
こうしてみると、こちらのお店は、国道296号と旧佐倉街道と関係が深い立地だと気がついた。なかなか面白い発見!

こちらは、木の盆にバラ売りが陳列されていて、フランクな近代的なスタイル。
箱買いを促すかのような、目立つ箱も目に飛び込んできますね。

木村屋鏑木店(千葉県佐倉市鏑木町491-4)
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 月火 / 電話 042-736-9833

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佐倉城への城攻め

佐倉駅から徒歩でも30分。
佐倉駅の北西にあり、城もなかを売ってる蔵六餅木村屋さんは佐倉駅の北東にある。
ちょっとそこが城攻め帰りに寄りにくいのだが、そこまで遠く離れてるわけでもないので、ぜひ帰りに寄ってほしい。

佐倉城は公園になっており、遊歩道を歩く分にはなんら問題ないが、土塁が綺麗な出丸跡や昔、乳母が子どもを池のほとりで遊ばせていた際、あやまって子どもを溺れさせてしまったという哀しい伝説が残る姥ヶ池など、色んな場所を見に行こうとするとアップダウンを繰り返すことになり、小高い丘に城があることがよくわかります。
とくに(私が訪ねた時は)一部崩落等で行けない場所があり、昇り降りを繰り返しながら佐倉城の跡を巡りました。

土塁に囲まれ、隅櫓跡や天守閣跡のある本丸跡、そしてスタンプのある佐倉城址公園管理センターと自由広場の道から姥ヶ池へ下る道のある付近から公園の奥に向かう道にある両サイドの空堀が特に注目ポイントだった。
空堀の内部に入ることもできたので、その高さを下から眺めると、堀底で木々に囲まれ、公園から一気に森の中へ迷い込んだような気分になります。
また、国立歴史博物館も隣接していて、その付近の馬出し空堀も美しく見応えがありました。

その他の佐倉城の城菓子

欧風菓子工房カーメルさんの「佐倉城本丸」

194円

城もなかの皮を用いた、最近台頭してきている、城もなかの新たなる進化系というか新しい城もなかの道ともいうべき、和菓子洋菓子のコラボ「城もなかフロランタン」です。

皮は三層角右寄り型の定番の皮。

その皮をフロランタンのクッキー生地の代わりに用いている。
その皮の内側、城もなかの餡を詰める部分の空間にナッツ類を入れキャラメルコーティングするわけだが、欧風菓子工房カーメルさんの城もなかフロランタンは一味違う!

溢れんばかりの五色豆、レーズン、チェリー、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ごまをキャラメルコーティングしているのだ!!
写真からもその盛りだくさんなお祭り騒ぎのように多種多様な素材が顔をのぞかせている。キャラメルコーティングが薄めで控えめなのが、この状況を作り出しているのだろう。
これだけの登場人物を支え、受けとめている、城もなかの皮がなんだか誇らしく感じる。

食べると、もなか皮のパリパリと甘酸っぱさや香ばしさが口に広がる。ひと噛みひと噛みで出てくる味や食感がどんどん変わるのも、これだけの大所帯のフロランタンであることの面白さのひとつでしょう。

欧風菓子工房カーメルさんは、佐倉駅から北に彫刻通りを進み、佐倉駅前の交差点で右折し進んでいくとあります。こちらを経由し、木村屋鏑木店に向かうこともできます。
さまざまな洋菓子の中に、一際目立つ和の風格。洋菓子界の黒船? 逆黒船? ともいえるのか。
透明なパッケージがその目立ち度を高めている。洋菓子を買いに来た人に「なんだこれ?」と手に取ってもらいやすいんじゃないかと思います。まさに意外な出会いを演出している。
こういうとこから、和菓子に興味がなく、お菓子屋さんといえば洋菓子店という方々にも、城もなかの存在(これは城もなかフロランタンだけど)を知ってもらえる機会になっている。

欧風菓子工房カーメル (千葉県佐倉市表町3丁目13-23)
営業時間 10:00~18:00 / 定休日 月火 / 電話 043-484-2709

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館山城の城もなか

「城山最中」(菓子匠やまもと)

税込140円

皮は、三層角中央型。
地元の米屋さんにて、オリジナルの型で作られている、独特の三層の天守閣。
じっさいの館山城とは形状が異なる。

印象的なのは、千鳥破風が目立つように3つ中央角の右面にあること、一層目の縦格子窓のようなものとに二層目の窓か狭間。
石垣の面積は少ないものの、しっかりと石のひとつ一つが表現されている。

皮の輪郭は粗密にムラがあるようで、素朴な感じがする。
また、望楼型天守イメージだから、下から上に層を重ねる度に床面積がドンッドンッと小さくなっており、そのぶん餡を詰められる体積も減っているので、全体的に小ぶりな城もなかです。

パッケージは、透明なプラの袋に城山最中のシールが貼られている。
シールにより城もなか全部が見えないところがチラ見せ効果なのか、気になるw
シールに添えられたイラストは、館山城のようです。

あんは、粒あん。
ただし、胡桃(くるみ)の粉末が練り込まれており、単純な小豆のあんだけと比べても、胡桃の風味や香ばしさがほのかに感じられ、ワンランクもツーランクも上のあんに感じられる。
これは写真では伝わらないので、ぜひ食べてみてその隠れた胡桃を感じていただけたらと思います。

形状的に上層の容積が少ない部分にまで所狭しと餡がきちんと入っていて、作り手のまごころが詰まっているなーと思うところです。
そもそもボリュームが異なるので単純な比較はできないかもしれませんが、上層と下層では皮とあんのバランスが異なるので、その比較もこの城もなかのひとつの楽しみ方かと思います。

お店は、館山駅から館山城へ向かう途中にあります。館山駅から南下して国道410号と国道128号の交わる交差点「北条」が目印。ここを東へ(国道128号を)進むとすぐ左手です。

じつはこのお店の城もなかは最近見つけたもので、千葉には佐倉城の城もなかしかないと思っていたところ、千葉の南端の館山城にも城もなかがあると知り、千葉の城もなかの陣取り模様がバランス良くなったと、とても嬉しくなった思い出の城もなかです。
ようやくその城もなかと対面できて、千葉の南はお主に任せた! 頼んだぞ! と心の中で声をかけていました。
自分で言っててこんなこと思っているやついないだろうなと、やばいなと感じたエピソードでした。

菓子匠やまもとさんは、創業1934年(昭和9年)で、2014年(平成26年)にリニューアルされたそう。フワフワのかき氷が有名みたい。
昔は山本菓子舗さんって名前だったようです。
綺麗な外観のお店に年季の入った看板がまた古きを愛しつつ新しいものへの感受性もあるような印象です。SNS(Facebook)もやられているようで、ホストファミリーをされていたり、小学生のために和菓子教室を開いたりしておられ、アグレッシブなお菓子屋さん。ぜひ新しい城もなかの次のステージにも期待したいところです。

ちなみに、城もなかの陳列写真の左に見切れている「ピーナッツ饅頭」も名物みたいでした。
城もなかと共に、千葉の名産ピーナッツのお菓子も。
せっかくだから、店内コラボで、ピーナッツあんとかの城もなかもバリエーションに加えるとかしてはどうでしょう? いつか実現する日を楽しみにしています。

菓子匠やまもと(千葉県館山市北条1821)
営業時間 7:30~19:00 / 定休日 不定休(水が多いか) / 電話 0470-22-0835

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館山城への城攻め

館山城へは、館山駅から徒歩で向かいました。
館山駅から南へ行き、「北条」の交差点から国道410号に沿って行き、「潮留橋」で汐入川を渡って、ひたすら真っ直ぐすすみ、館山警察署城山交番の手前で左折しすると館山城の城山公園にたどり着く。なお、道は途中で県道257号に入っています。大体徒歩25分くらい。

公園に着いたら遊歩道を歩きながら数分で、館山城の模擬天守閣にたどり着きます。
あいにく私が訪れたときは、天気が悪く雨が降ったり止んだりで、写真のとおりいかにも天気が悪そうな曇り模様。

模擬天守閣は、里見八犬伝を学べる博物館となっており、あんまりその物語を知らなかった私は大変勉強になりました。
また、天守閣の奥からの眺望もよい。天気が良ければ最高でしたが。
博物館でじっくり勉強してるうちに雨も小降りになってきたのでよかったのですが、やはり雨だと靴も濡れてイヤーな感じになるし、気持ちが滅入ってしまうところがありました。城めぐりが晴れの日ばかりならいいのですが。

おわりに

今回は千葉県の城もなかをふたつ訪ねて来ました。
学校給食として、城もなかを小さい頃から親しみを持たせてくれているほか、歴史ある佐倉の銘菓店

蔵六本舗木村屋さんの
「佐倉十一万石最中」

そして千葉の南端で、時代の波に乗りながら、海外そして子どもたちにも親しまれる菓子店で作られる小ぶりでかわいくも独自性のある

菓子匠やまもとさんの
「城山最中」

どちらも千葉の城もなかの代表にふさわしい特徴があります。南北ふたつの城もなかが、千葉県中に新しい城もなかが生まれる影響を与えてくれるのではないかと期待しています。

また、佐倉十一万石最中では、城もなかの学校給食への広がりという、そんなところにも城もなかが進んでいるのか! と驚きとワクワクさを感じた一方、城山最中では、新種情報(未発見だった城もなか情報)を発見し、千葉の南の端までは時間もかかったし、天気が悪くて電車の運休も気にしながらではありましたが、はるばる会いに来れた感動がありました。
城もなかの世界は小さいながらも、こんなにも人の心を動かすものか、こんなにいろんな展開があるものかと、改めて城もなかの世界の面白さを堪能させていただきました。
引き続き、城めぐりと共に城もなか探訪を楽しんでいきたいと思います。これからどんな展開がやってくるのか、想像もできないですが、城もなか、日本のお菓子のまだまだ頑張りますっていう気概が頼もしいですね。

この城もなかのご報告をご覧になった皆様が、城もなかを通じて全国各地のお城が地域で愛されていることや、角度の違った城めぐりの新世界が広がればと思っております。

f:id:kojodan:20191205212535j:plainそれでは、
城めぐりのおともに「城もなか」を!
よき「城もなか」との出会いがありますことを祈っています。

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