攻城団ブログ

お城や戦国時代に関するいろんな話題をお届けしていきます!

榎本秋先生の最新刊「超約版 家康名語録」の出版記念ライブを生配信しました

こちらもご覧ください!(広告掲載のご案内

昨夜は榎本先生の最新刊「超約版 家康名語録」を紹介する番組を攻城団テレビで生配信しました。
来年の大河ドラマの主人公でもある徳川家康の名言を集めた本ですが、その大半は江戸時代中期や幕末にまとめられた書物で紹介されているので、ほんとうに家康が語ったセリフかはわかりません。わからないのですが、ただ「みんなが求める家康像」というか、まさに偶像としての家康の輪郭が見えてくるような名言録になっているので、個人的にはとてもおもしろく読めましたし、また紹介するのも楽しかったです。

本書に掲載されているのは60個の名言ですが、そこから10個の発言をピックアップして約二時間にわたって紹介しました。
最後に紹介した東照宮神君御遺訓(とうしょうぐうしんくんごゆいくん)にある「人の一生は重荷を背負って遠くへ行くようなものだ」のセリフは有名ですよね。もっともこれも後世の創作だろうと言われてますが、「鳴くまで待とうホトトギス」のエピソードしかり、徳川家康が忍耐・我慢の人というイメージで語られるようになったきっかけや経緯が知りたいものです。

榎本先生は「人生の最晩年になってようやく天下を取った流れからして、自然と忍耐の人というイメージが生まれたのでは」とおっしゃってましたが、大ヒットした山岡荘八の新聞小説『徳川家康』や、あるいは徳富蘇峰の『近世日本国民史』など、昭和に入って形成された可能性もありますよね。
団塊の世代に徳川家康を英雄視する人が多い印象があるけど(その子どもにあたるぼくらの世代はゲームの影響もあって織田信長を理想のリーダーにあげる傾向があると感じる)戦後の復興、そして高度経済成長という時代は家康とうまくフィットしたのかもしれません。

というような感じで単に徳川家康の名言を並べただけじゃなく、なぜ家康が神格化されていったのか、そしてこんなに膨大な数の名言が(創作であれ)残されているのかということを考えさせれる一冊です。
語られている内容もそれこそ松下幸之助やスティーブ・ジョブズの名言と紹介されても信じてしまいそうな、現代人にもヒントになることが多く、通勤・通学時に読むにはちょうどいいと思います。

「捨て城であるなら拾ってしまおう」や「天下は一人の天下ではない。天下は天下の天下なのだ」あたりは大河ドラマのセリフにも使われそうですし、どの名言がドラマに登場するかを予想しながら読むのもおもしろそうですね。
来週11月22日(火)発売なので、ぜひ読まれたら感想を聞かせてください!

なお引用元の書物にはこんなのがあります。

名将言行録(めいしょうげんこうろく)
幕末の館林藩士・岡谷繁実(おかのや しげざね)が1854年(安政元年)から1869年(明治2年)までの15年の歳月をかけて完成させた人物列伝。

三河物語(みかわものがたり)
江戸時代初期に旗本の大久保忠教(おおくぼ ただたか。通称の彦左衛門で有名)の著作。
大久保忠世(おおくぼ ただよ)の弟。

常山紀談(じょうざんきだん)
備前岡山藩主・池田氏に仕えた徂徠(そらい)学派の儒学者・湯浅常山(ゆあさ じょうざん)の著作。江戸時代中期の人物。

武野燭談(ぶやしょくだん)
1709年(宝永6年)に成立した歴代将軍や老中など約100名の言行録。著者は木村高敦(たかあつ)が有力とされる。

武功雑記(ぶこうざっき)
肥前平戸藩4代藩主・松浦鎮信(まつら しげのぶ)が記した武辺咄(ぶへんばなし)を集めた書物。1696年(元禄9年)頃に成立。

徳川実紀(とくがわじっき)
江戸幕府の公式史書。35年ほどかけて、1844年(天保14年)に完成。

ほとんどが国立国会図書館デジタルコレクションで見れるのもびっくりですね。

kojodan.jp

フィードバックのお願い

攻城団のご利用ありがとうございます。不具合報告だけでなく、サイトへのご意見や記事のご感想など、いつでも何度でもお寄せください。 フィードバック

読者投稿欄

いまお時間ありますか? ぜひお題に答えてください! 読者投稿欄に投稿する