攻城団ブログ

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城葱さんの「城もなか」道中記【関東編♯5】

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「城もなか」を求めて全国を飛び回る城葱さんが今回向かったのは忍城(埼玉県)と館林城(群馬県)。どちらも歴史的に有名なお城ですが、ここにも城もなかがあるんです。
ただのお土産和菓子としてだけじゃなく、城もなかがあるプロジェクトの起爆剤になっていたり、あんこだけじゃなく夢や希望が詰まった城もなかの話も登場します。
おいしそうな城もなかの写真とあわせてじっくり楽しんでください!!

今回は北関東のふたつの有名なお城、埼玉県行田市の忍城、群馬県館林市の館林城の城もなかにと出会うたびに、城めぐりをしながら行ってきました。
どちらの城もお城好き、歴史好きには有名なお城ではないでしょうか。

のぼうの城で注目された、関東7名城のひとつで、石田三成の水攻めにも耐え、浮城としても有名な「忍城」。
そして、築城には狐の尾曳(おびき)伝説、上杉・武田・北条の三つ巴の中で、上杉・北条の支配を受けつつ、徳川家康の関東入封とともに、徳川四天王の榊原康政が城主となった「館林城」。
歴史や縁の深いお城は、その歴史的なおもしろさに加えて、頼もしい城もなかなどのお菓子により城の楽しさに気づき、広めてくれるといいなぁと願うばかりです。

さて今回は、どんな地域の、どんな特徴的な城もなかに出会うことができたのか、そして、その城もなかが生まれたふたつの城はどんなお城だったのか、ご報告させていただきます。

忍城の城もなか

「忍城最中」(金沢製菓舗)

税込150円

皮は、定番の、三層角右寄り型!!
城もなかのイメージが、このタイプに定着している気もする。

※三層角右寄り型
三層の天守(櫓)であり、石垣の角が、中央より右側によっているもなかの皮の型のひとつ。

そして形の精粗でいうと、これは粗の方ですね。
瓦屋根の筋や窓・狭間の窪みがはっきりしていない。

そして今回ははっきり見える、ちょうど石垣の角のところにかかるようにある、謎の帯。
未だこの帯の解明には至らず……。
やっぱり皮の製造元に聞かないとわかんないかもなw

パッケージは、透明なプラスチックの袋。
城もなかが、はっきり見える。

「忍城物語」という文字ともなかの皮の色と同化して見えにくいが、忍城の三階櫓のイラストが茶色で描かれている。
かつては白い袋のパターンもあったようだが、今回行ったときには透明のみでした。

登録商標ともなっているらしい「忍城物語」――これがこの城もなかの名前となっていたこともあるのかもしれないが、現在は店頭の商品名にあった「忍城最中」と呼ぶことにしたいと思います。

このようにダブルネームというか、パッケージの表記と店頭のポップ(POP)が異なることがけっこうある。
おそらくパッケージはキャッチコピーで商品名でないとか、ポップはパッと何がわかるような親しみのある表現にしているとかさまざまあるのだろう。
その辺も、店頭で城もなかを見る時の注目ポイントです。
忍城最中、またの名を、忍城物語という! なんていうとかっこいいじゃない!

あんは、粒あん。
詰まり具合は100%に近いが、多少空間がある。

買ったところは、金沢製菓さん。

安政5年創業の160年以上続く老舗のお菓子屋さん。

近くにある古墳にちなんだ「古墳もなか」や、看板猫の御朱印で人気の前玉神社がお隣りのためか「ねこ最中」などもあり、この地域に根差した、お菓子で地域を盛り上げようとされているお菓子屋さんであることがよくわかる。

お店は、秩父鉄道行田市駅から徒歩45分くらい。
忍城からでも徒歩で45分くらいですが、歩きたくないという方は、行田市観光拠点循環バスがおすすめです。
1時間に一本程度ですが、前玉神社と忍城バスターミナルにバス停があるので、スタートはJR行田駅からで、ぐるっと回り25分程度で前玉神社に着きます。またここからバスに乗れば10分弱で忍城バスターミナルまで着けます。
また前玉神社と忍城バスターミナルの間にさきたま古墳公園の前にもバス停があるので、こちらで古墳を観光して忍城へというのもいいかと思います。

参考:古墳公園

天気がよくて、いろいろ見て回るならレンタサイクルもいいです。

金沢製菓(埼玉県行田市埼玉5288)
営業時間 8:00~16:30(土日は16:00) / 定休日 月曜日 / 電話 048-559-1663
※商品の販売状況によっては早く閉まることもある

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なお、秩父鉄道行田市駅から忍城へ向かう途中にある「観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ」でも、ねこ最中とともに置いてあります。少数なので売り切れ注意。

ちなみにこの観光物産館には、たくさんの忍城関連のお菓子などが揃っているので、ぜひお立ち寄りください!
秩父鉄道行田市駅から徒歩10分強で着きます。

観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ(埼玉県行田市忍2丁目1-8)
営業時間 9:30~17:00 / 定休日 無休 / 電話 048-554-1036

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忍城への城攻め

忍城は、御三階櫓が美しくそびえ、本丸土塁、石垣の石の野外展示などが見られます。
また、高麗門があったり、鐘楼もあります。
白く美しい御三階櫓と水堀の構図が写真映えする。天気が良ければさらに良い。必ずと言っていいほど、写真を撮るポイント。

行田市郷土博物館の一部でもあるこの櫓。
郷土博物館に入館すれば、櫓の中にも行けます。ただし、櫓の中ではあるけれど博物館の展示室ですのでご留意ください。
展示室ではあるけれど、本館に対する離れ的な別館なので、渡り廊下を渡っていくところが、渡櫓を進むようで、ちょっとワクワクします。

石垣の石の展示は、御三階櫓とは反対側にあるので博物館の片隅にひっそりと並んでいます。
立て看板があるから助かります。石垣の石の裏側ってこんなんなってんのかー、と実物で学べる場所でありつつ、美しく並べられている感じもいいところ。
石垣の石が、抜けた歯のように見えておもしろいところです。

なお、小田原攻めの際の水攻めの話が有名ですが、湿地帯を利用した城なので、近くの水城公園にその名残の沼があります。そちらまで足を伸ばしてみるのもいいかもしれません。

先ほどの金沢製菓さんからのアクセスのほかに、JR行田駅からだとバスなら水城公園前で下車して徒歩10分、秩父鉄道行田市駅からなら徒歩15分で到達できます。

その他の忍城の城菓子

十万石ふくさやの「浮城サブレ」

税込140円

お城の形をしている、いわゆる「城サブレ」。
写真は、春の忍城バージョンで、城型のサブレに半分だけイチゴチョコがかけられています。春の桜の花吹雪がまとう忍城のようです。イチゴチョコは半分だけなのがまたいい!
半分はサブレとイチゴチョコ、半分はサブレのみと一つのサブレで2度の味わいを楽しめる。

サブレも形だけでなく、表面にも凹凸で城を表現しているところも手が込んでいる。
パッケージにある忍城イラストの一部透明になっているところからのぞく城サブレ。清々しいブルーの袋がクール。
なお、冬は、ホワイトチョコがかかった冬の忍城バージョンがあるようです。

箱買いする時には、ぜひこの5枚入りハンディーBOXを選んで欲しいです。

ハンディーBOX 5枚入り

忍城の形っぽくかつ手提げとなる箱に、忍城が味のあるタッチのイラストで描かれており、サブレが5枚入っている。
お土産にするとインパクトがあります。箱は壊れやすいサブレを保護してくれるので優れたパッケージです。

秩父鉄道行田市駅から徒歩8分。
行田市駅からだと南に中央通りを進み、県道128号線で左折。180mくらい進むとあります。忍城方面とは逆方向なので注意です。

十万石ふくさや 行田本店(埼玉県行田市行田20-15)
営業時間 9:30~17:00 / 定休日 無休 / 電話 048-556-1258

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十万石ふくさやの「十万石まんじゅう」

税込140円

表面に「忍城」と焼印された白い蒸まんじゅう。
一口サイズのまんじゅうが、ひとつ一つ個包装されていて、食べるにも配るにも都合がいい。
忍城の石高十万石にちなんだお店の名前をいただいたお店の代表菓子。
あんはこしあん。
焼印も鮮明で「忍城」がはっきりわかる。 

結構いろんなところで販売されているようです。
もちろん本店でも買えるけど、今回はぶらっと♪ぎょうだで購入。

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大徳商会の「おしまん」

忍城を模した乳化まんじゅう。デフォルメされた忍城の形をしていて可愛らしい。
あんはきみあん。

個包装で一口サイズ。食べやすく仲間内へのお土産としてもいい。
裏側はうずうずしていて、それも可愛いw

600円(8個入り)

こちらも、観光物産館ぶらっと♪ぎょうだで購入。

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野中米菓店の「石垣せんべい」

六角形をした一口サイズのせんべい。せんべいが石垣の石を表現している。
だが、忍城の石垣は六角形の石ばかりではないのでなんとなく石垣好きとしては違和感だが、まぁご愛嬌。
六角形である形の統一性と焼き色凹凸の不均一感がおもしろく、一見遠目では石が大体同じように見えるが近くで見ると色や形も全然違う石垣のようでもある。

ちょっと一袋ひとりでは多いですが、こないだ行ったらハーフサイズもありました。
またまた、観光物産館ぶらっと♪ぎょうだで購入。

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(番外)ひしや納豆の「忍城納豆」

税込220円

菓子ではないけど、納豆好きでもある私が忍城でおすすめしたいお土産が、この「忍城納豆」です!
大粒小粒があり、個人的には小粒派なので小粒しか食べたことがないけど、忍城に行くたびに買って帰り、日に日に買う数が増している強いリピート商品ですw

スーパーの安い納豆に食べ慣れているためか、スーパーの納豆とは一味も二味も違う、この納豆の美味さに惚れ込んでいます。
スーパー納豆の1.5〜2倍くらいの大きさがあるので、一食には多いかもしれません。しかし私は基本多めのご飯にこの納豆をいただき、贅沢な美味納豆を味わいつつ思い出を思い返して至福の時間を持つことで、忍城攻めの締めくくりとしています。

しつこいようだが、これも観光物産館ぶらっと♪ぎょうだで購入。
改めて思う。なんでもあるわ、この物産館!

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館林城の城もなか

「館林城もなか」(和菓子処さのや)

税込160円

皮は三層角左寄り型。定番です。今回はふたつの城もなかが、どちらもこのタイプ。
同じ見た目でも、背景やデザインはさまざまだ。
仲間のようで個性がある。決して金太郎飴じゃないんです!

皮の凹凸の粗密は粗で、少し斜めな特有の帯が石垣角をめがけて縦に入ってる。こういうところも定番感が出てきたなぁ。

パッケージは、半透明の和紙のような袋に入っていて、城もなかの形がうっすら見える。
絶妙な加減がまた粋だ。天空の城ではないから、この場合は、霧をまとった城だろうか。沼地の天然要害を活用した城らしいから、水辺の霧ってこともある。

いや、館林城の場合は白ギツネが縄張りを尾を引いて教えてくれたという狐の尾曳伝説もあるから、その幻想的な雰囲気をまとっているという感じもする。
いずれにせよ、城がぼんやり見える袋が特徴的。

そして、徳川四天王の榊原康政と徳川綱吉のゆかりの城ということで、館林城もなかの名前の横にキャッチコピー的にダイレクトな表現でシールが貼られている。

徳川四天王の榊原康政が城主となり、5代将軍・徳川綱吉が将軍になる前に城主だった城という、徳川ゆかりのお城とあっちゃ、そのことを言わずにはいられない気持ちもわからなくはないな。
ダイレクトなメッセージは、あんまり歴史やお城に詳しくなくても、このシールをきっかけに、へぇそうなんだと関心を持ってくれる機会にもなる。そして、同じくシールに添えられているイラストがなんとも素朴で可愛らしい。
パッケージだけでも色々気になるところがたくさんある館林城もなか。

あんは、粒あん。
かなり隙間なくぴっしり詰まっている印象で、どちらかというと粒がはっきりしていないペースト状です。

買ったところは和菓子処さのやさんです。

町のお菓子屋さんの雰囲気がただよう外観の温かみを感じざるを得ない佇まいのお店。
店内のショーケースに館林城もなかは敷き詰められていました。

館林城もなかの特徴は外観や中身だけではありません。特におもしろいのは、その誕生ストーリーと、館林城への想いが詰まっている点です。

館林城もなかは、「館林城の再建をめざす会」が、館林城の再建はなかなか進まないが、先にお土産をつくってしまおうということで、が2018年に企画し制作されたもの。
(参考:館林城の再建をめざす会 | 特設・旧市庁舎保存プロジェクト

昔からある製餡所を訪れたときにアイディアが閃き、その後さまざまな有名餡を研究、和菓子処さのやさんの協力を経て、販売に至ったとのこと。
長続きさせるには、リピーター獲得ということで、品質にこだわっているほか、パッケージの包装紙にも、館林城の歴史をポップにデザインしたものとこだわりがある。
売り上げの一部は、館林城再建の資金となるらしく、美味しい城もなかを食べれて、館林城の再建に夢を託すこともできるという、城好きには一石二鳥のお得な城もなかなのです。
当時の新聞記事によると、一個10円程度の寄付とのこと。

さらにフライヤー(チラシ)にあるキャッチコピー
「美味しく築城できました」
「館林城再建をめざして甘い計画をどうぞ」
とか、粋でかっこいい! コピーライターがついているのだろうか。そんなワクワクさせてくれる点も頼もしい。
「……甘い計画をどうぞ」にいたっては「館林城再建は考えが甘い」という批判を逆手に取っているというところも加味すると一段と感銘深いものとなります。

一方で、品質面へのこだわりで、館林城もなかは薄利だとされているから、この原材料高騰のご時世、もう少し価格が高くてもいい、そうしないと続かないのではと心配してしまう。寄付を含んでいるとすると利益あるんだろうか……。

なお、さのやさんでは、館林城もなかのほか「招き猫もなか」もある。大きな鈴に小判。愛らしい顔。
食べるのがもったいない。パッケージも赤と金の鈴柄で縁起が良さそう。
夢を馳せる館林城もなかと福を招く招き猫もなかをともにぜひ。

和菓子処さのや(群馬県館林市西本町13-26)
営業時間 9:30~18:00 / 定休日 月曜日 / 電話 0276-72-1070

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館林城への城攻め

館林城は子ども科学館の南側の本丸、市役所のある二の丸、文化会館の三の丸のほか、いくつかの曲輪で構成されています。

シンボル的存在でもある復元された土橋門や近くの井戸、枡形、土塁に塀と見所はたくさんありますが、本丸跡に残る大きな土塁や、三の丸の遊歩道外の土塁なども個人的にはいい感じでした。土橋門から三の丸の外側をぐるりと回る道も土塁の高さを感じるいい道でした。
土橋門のある三の丸で終わらず、本丸の方まで足を伸ばして欲しいです。

館林城は市民の施設が立っていることから、市民の生活に城がある感じがして、なんだかほっこりするとともに、もう少し歴史のあるこの城の存在を感じる場所にならないかなぁと思いました。
城もなかをはじめ、まだまだ可能性を秘めたる館林城に期待したいところです。

おわりに

今回は、北関東の2名城の城もなかをいただいてきました。県は異なりますが、比較的近く、一緒にめぐるにはいいかなぁと思います。

また、ふたつの城もなかがどちらも皮が三層角右寄り型であるという共通点がありましたが、思いがけず城もなかのお店の共通点も発見。
忍城の城もなかの金沢製菓舗さんの「ねこ最中」、館林城の城もなかの和菓子処さのやさんの「招き猫もなか」、どちらにも猫のもなかがあることです!
何か新しいつながり、関連性があるのか、単なる偶然なのか……気になります。そんな城や城もなかには全然関係ないことでも楽しむことができた城攻めとなりましたw

売り切れ御免の人気の城もなか。古墳や猫のもなかと並び、忍城物語のダブルネーム「忍城最中」
城の再建を願う、先取りお土産もなか。粋なフライヤーの言葉が城もなかを盛り上げる「館林城もなか」
このふたつの特色ある城もなかに触れ、城もなかがひとつの歯車となって地域の活性化に貢献していると感じることができました。

忍城では城もなかだけでなく、お城にちなんだお菓子が多数生まれており、城が観光、地域おこしのキーになってる! とひしひしと感じました。
館林城では城の再建という巨大な地域活性の起爆剤を目指すプロジェクトの一端として城もなかが担っていることを学びました。
城もなかがこれからも大きくたくさんの歯車と噛み合って、地域の発展、城の楽しさ、人のつながりを生んでいってくれたらいいですね。

有名なお城であれば、城もなかがなくても人は来るのですが、城もなかがあり、そこに関心が向くことで、城から城もなか、城もなかから地域やお店へと関心が伝播して広がっていくことでしょう。

今回紹介した城と城もなかも、東京から日帰り可能で、県を跨ぎつつもコンパクトにめぐれるコースでもあるのかなと思ってますので、このあたりに城攻め計画があるようでしたら、ぜひ城もなかの購入も旅程に組み込んでもらえたらうれしいです。

これからも、まだお目に掛かれていない城もなかを求め、また愛しき城もなかとの再会を楽しみに、城攻め・城もなか攻めの行脚を進めていきます。
 
この道中記をご覧になった皆様が、城もなかを通じて、城が地域で愛されていることや、角度の違った城めぐりの新世界が広がればと思っております。

f:id:kojodan:20191205212535j:plainそれでは、
城めぐりのおともに「城もなか」を!
よき「城もなか」との出会いがありますことを祈っています。

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