攻城団ブログ

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御城印ブームについてインタビューに答えました

すでにお読みいただいた方もいらっしゃるかと思いますが、KADOKAWAが運営する「ウォーカープラス」というサイトに御城印についてぼくがインタビューに答えた記事が公開されました。

www.walkerplus.com

上記記事もかなりの文量ではありましたが、じっさいにぼくが回答したアンケートはもっと長く、1万字ほど書いているので(もったいないから)自分たちのブログで公開することにしました。

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以下、インタビュー形式で掲載します(記事の取材も質問状が送られてきて、それに回答するというものでしたので原文のままです)。

この回答は9月29日に書きました。

御城印について

御城印誕生の経緯や歴史について教えてください
(御朱印ブームとの関係性、全国に広まったきっかけなど)

こうの
御城印の正確な定義はありませんが、お城が発行する登城記念符としてもっとも古いのは松本城だといわれています。ただし管理事務所の方も正確にいつから販売開始したかはわからないそうで、おそらく平成3年頃からではないかとおっしゃっていました。
(なお松本城では御城印とは呼ばす「登閣記念証」として販売されています)

御朱印ブームがいつからはじまったのかはわかりませんが、2014年に「御朱印ガール」という言葉でメディアが取り上げているので、おおよそその頃からと推定され、またこの御朱印ブームはその前のパワースポットのブームの流れを受けているとも思います。

御城印が本格的に普及しはじめたのはここ2〜3年で、ほとんどは今年です。
なので現状のブームについては今年一気に広まったと考えたほうがいいと思います。
その背景にはツイッターやインスタグラムなどのSNSによる観光客側の情報交換・情報共有が大きくて、現地で「御城印はありませんか」と聞かれて、その存在を知った運営側も多いと聞いています。

もともとお城には現地ならではのお土産が少ないこともあり、来城した記念に購入して帰るグッズにみんな飢えていました。
そこに御城印はハマったと思います。おおよそ300円前後で購入できること、かさばらないこと、それぞれに個性があってあとから見返しても楽しめることなど、いいグッズです。
また販売する側にとっても原価が安いので、双方にメリットのあることから一気に普及したと考えます。

こうした御朱印活用についてのモデルケースになっているのが郡上八幡城です。
郡上八幡産業振興公社の小木曽さんたちが積極的にPRされてきたからこそ、追随される方にとっても参考になったと思います。

すでにお読みいただいているようですが、小木曽さんのインタビュー記事がありますので再掲します。熊本城への寄付にあてるなど、たんに営利だけを目的としていない姿勢はもっと知られていいと思います。

blog.kojodan.jp

現在、御城印を提供している城郭は何城ですか?
(ブログに掲載のある133城が最新でしょうか)

こうの
毎月のように増えている状況なので、数字については日々変動しています。 これを書いている9月29日時点では10月から販売開始予定のものも含めて142城を把握しています。 (もちろん把握できていないのもあるかもしれません)
「御城印」「御城朱印」「登城記念証」など、さまざまな呼び方があるのはなぜですか?
また、それぞれに意味や役割の違いはありますか?

こうの
意味や役割にちがいはないと考えてよいです。
ただおそらく今年はじめたところの多くは深く考えずに、通りのよい「御城印」として販売されているだけでしょう。つまりブームになる前はバラバラだった、といったほうが正確だと思います。

命名については各地によってさまざまではありますが、あえて「御城印」という呼称を用いていないところは「御朱印」と誤読されることで寺社や御朱印集めをされている方々に迷惑がかからないように配慮されているようです。
売り場にも「これは寺社仏閣でいただく御朱印とは別物です」と明記されているところもあります。
先述の郡上八幡城などがまさにそうですが、たんに御朱印ブームに乗っかって儲けようとしている人たちばかりではありませんので、こういう誠実なところを見てあげてほしいです。

御城印の楽しみ方や魅力について

御城印集めのポイント、基本の楽しみ方について教えてください

こうの
ぼく自身はすごく集めているわけではないのですが、コレクターの方々から聞いた話を中心にまとめます。

これまでお城めぐりでは「日本100名城」「続日本100名城」に代表されるスタンプラリーが開催されているくらいで、多くの城を巻き込んだコレクションアイテムは皆無でした。
もちろん御城印は名称も統一されてなければ、サイズもデザインルールもバラバラなのですが、基本的には御朱印をモデルにしているため、なんとなくの統一感があるのもまた事実です。

それによってあとから眺めて、旅行した際の思い出を呼び起こしたりできるのもいいですし、お城に出かける目的になったり、お城を知るきっかけになることにもつながっているようです。
御城印をコレクションしてる方のインタビュー記事も載せていますのでご一読ください。

blog.kojodan.jp

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どのようにコレクションするのがオススメですか?
(書置きが多いため、ポケットタイプの手帳が主流?各城郭オリジナルの御城印帳も人気でしょうか)

こうの
ポケットタイプの御城印帳に入れたり、通常の御朱印帳に貼り付ける方が多いようです。
ただし御城印はサイズも統一されていないので、ポケットタイプのものでも入らないことはあります。

もともとポケットタイプの御城印帳は郡上八幡城と「城びと」というサイトが制作されていたものだけだったのですが、最近は岩櫃城や国吉城などお城ごとにオリジナルの御城印帳を販売されるケースも増えてきました。
ただし御城印帳の製作となるとコストもかかるし在庫リスクも大きくなるので、御城印ほど広まることはないと思います。
マニア向けの楽しみ方があれば教えてください
(例えば、限定物やレア物を集める、デザインが変わるため再訪必須、など)

こうの
期間限定、曜日限定などを狙って再訪される方はたしかに大勢いらっしゃいますし、平成から令和に変わった4月31日と5月1日は各地で行列もできていたようです。
先日、小田原城でも限定御城印が販売されましたが、早朝から行列ができていたと聞いています。

複数のお城の御城印を集めることで記念御城印がもらえるイベントなども開催されています。

news.kojodan.jp

まだブームもはじまったばかりなので、マニアとビギナーというくくりそのものが成立しないとぼくは考えていますが、熱心なコレクターの方は同じお城に何度も訪問して複数バージョンの御城印を購入されているようです。
でも基本的には自分がほしいデザインの御城印を買いにいくことが全員に共通した楽しみ方だと思います。

最近はメルカリ等でも御城印が取り引きされており、限定ものとなると数千円から1万円のものもありますが、個人的には現地を訪問して直接購入してあげてほしいです。
御朱印では味わえない、御城印“ならでは”の魅力はありますか?
・地元産の和紙を使用している、地元の書家が墨書きしている、など、“地域性”が強調されている。
・家紋があしらわれている物が多く、歴史に興味を持つきっかけになる。
などが、御朱印との大きな違いかと感じました。上記についての補足や意見を含め、さまざまな魅力を挙げていただければ幸いです。

こうの
ご指摘のとおり、一部の御城印は「地元和紙を使用」「地元の書家や城主の子孫、地元高校の書道部が揮毫」といった地域性や歴史を尊重しており、それは大きな魅力だと思います。
購入する側にとっても「応援したい」という気持ちになりますし、情報を紹介するぼくらにとってもこうしたこだわりは広く伝えたくなります。

またとくに江戸時代まで存在していたお城の場合、城主がたびたび変わっているため、複数の家紋が朱印としてデザインされています。
こうした家紋を通じて、城の歴史を知るきっかけになることは素晴らしいことだと思います。
そこそこお城のことを学んできたぼくでさえ、これは誰の家紋だろうと紹介する際に調べることも多く、学びのきっかけになっています。
河野様のオススメ、お気に入りの御城印はありますか?
理由も合わせてお答えください。

こうの
どんなものなんだろうとはじめて購入したのが二条城なので思い入れはあります。

kojodan.jp

名護屋城のように瓦にあった家紋の拓本を使用したのも素敵だなと思います。

kojodan.jp

先の質問には「城主が変わり、複数の家紋があって」と書きましたが、個人的にはだからこそ江戸時代を通じて城主が変わらず、どんとひとつの家紋を中央に配置したデザインの御城印はシンプルでカッコいいなとも思います。
ただこうした個人的な好みをああだこうだと言い合えることそのものが御城印の個性を表しているとも言えますよね。

近年のブームについて

実際に御城印を提供する城郭が増加し、ブームの兆しを感じたのはいつ頃ですか?
また、ブームに伴ってファン層に変化はありましたか?
(「お城好き」にとどまらず、一般観光客や訪日客への広がりなど)

こうの
ブームと感じたのは今年です。
それまでは存在を知りつつも静観してましたが、これだけ集めている人が増えているのであれば情報を整理すると喜ばれるだろうと考えて、夏前から全国の情報を整理しはじめました。
公開後、ものすごく反響がありましたし、ぼくらが把握できていない情報も寄せていただけるようになりましたので、公開中のリストは多くの方の協力なしでは更新できなくなっています。

お城自体には近年、老若男女問わず訪問者は増えていますし、都市部のお城には海外からの観光客も大勢来られているので、全体として見た場合、御城印をきっかけになにかが変わったとは感じていませんが、地方のお城については御城印をはじめたことで訪問者が増えているのではないかと思います。

たとえば大草城(愛知県知多市)はもともと城址公園なので正確な来場者数も把握できていないと思いますが、御城印を販売されている株式会社縄文堂商会の方から話を伺うかぎり、毎日のように全国各地から御城印を求めてお客さんが来店されているそうです。またその情報源が弊社のサイトであるともおっしゃっていて喜んでくださっていました。

同様の事例はおそらく各地で起きていて、御城印を販売しなければ来るはずのなかった人たちが訪問しているということは一部とはいえ起きているのではないでしょうか。
二条城にとっては1000人増えても誤差の範囲ですが、地方のお城では大幅増になるので、ぼくはどんどん乗っかればいいと思っています。
誕生から30年を経て人気が急増している、その理由は何だと思われますか?

こうの
先に回答したとおり、もっとも古い松本城の販売開始から数えれば30年近く経つものの、じっさいには今年に入ってからのブームですので、この問い自体は意味がないと考えます。
郡上八幡城が始めた、城郭同士が連携する仕組み作りなどの内的要因も、ブームを後押していると思われますか?
そのほか、特筆すべき各城郭の取り組みがあれば教えてください。

編集サイドは、下記2点が大きく関係しているのでは、と考察しました。ご一読いただき、ご意見やご指摘など頂きたく存じます。
1)近年は、商品の所有に価値を見出す「モノ消費」から、商品やサービスを購入したことで得られる“体験”に価値を見出す「コト消費」へと消費者のマインドが変化。城郭を訪ね、御城印をもらい、コレクションをする「御城印集め」はその双方を満たしていると言える。加えて、「御城印をもらうこと」=「現地に行き思い出を作ること」とリンクし、旅・おでかけのきっかけにもなっている。
2)東京五輪開催を契機に、「地方のいいものにあらためて目を向ける」、“ご当地魅力再発掘ブーム”ともいえる風潮がある。御城印も、地方自治体による“町おこし”のツールのひとつとして活用されている側面もある。(郡上八幡城の取り組みも当てはまるかと思います。)

こうの
郡上八幡城がやられていることは素晴らしいことですが、現実としてはそれに参加するお城が増えていないので、ブームそのものとは無縁だと思います。
個人的にはこうした城郭同士の連携は本件にかぎらずどんどん進めばいいと思いますし、弊社もそこに協力できることはないかと日々考えているのですが。

編集部の考察にある「モノ消費」から「コト消費」への消費者マインドの変化については、世の中全体としてはあるのかもしれませんが、SNSの普及が促しているのは「モノ」「コト」問わず、「他者に自慢できる」ということなので、たしかに旅行先の風景とデザイングッズとしての御城印の組み合わせは、いずれも「映える」ことから投稿意欲にもつながるし、それがブームを後押ししていると思います。

たとえば先日、ぼくは二条城内の自販機で徳川家の家紋「三葉葵」がデザインされた限定コカ・コーラを見つけてブログに書きました。

blog.kojodan.jp

このコーラも調べてみるとどうやら去年(2018年10月1日)から販売されていたようです。でもぼくの記事をきっかけに「こんなのがあるのか!」と知った方も多かったです。

御城印の話と共通していえるのは、情報の入手経路の変化だと思います。
いわゆるマスメディア側に所属されている御社(またその業界で仕事されている佐藤さま)も感じられていると思いますが、とくに若年層においてはテレビや新聞、雑誌に載ったとしても届かないことが多々あります。
(ぼくは45歳のおっさんですが、それでもコーラのことは知らなかったので、若年層にかぎった話でもないと思います)

要するに、ネットやSNSで知ったタイミングがその人にとっての「いま」なので、御城印が30年前から販売されていようと、コーラが去年から販売されていようと、今日知ったなら、その日の「最新ニュース」なんだと思うんです。

ちょうど数日前にもツイッターの投稿をきっかけに「有職装束大全」(平凡社)が大増刷につながったという話題がありましたが、この本も発売日は去年の6月です。

togetter.com

こうした事例は枚挙にいとまがないことを踏まえても、いまの世の中は情報を届けることがほんとうにむずかしいということだと思います。
それと同時に、いいものをつくっていれば、時間はかかるかもしれませんが確実に求めている人のもとに届けられるチャンスがあるともいえますので、ぼくとしてはこちらのプラスの側面に目を向けたいです。

もうひとつの考察にある「地方自治体による“町おこし”のツールのひとつとして活用されている」かについては、ぼくらが見聞きしているかぎり、積極的に御城印を販売されているところは少ないと思うので、あまり関係ないのではないでしょうか。
ぼくらがつくっているリストも公式発表の情報をもとにしたものは少なく、その大半は購入された方から「ここでも販売してるよ」と教えていただき(あるいはSNSの投稿等をぼくが見つけて)、観光協会や自治体に問い合わせて掲載しているものが多いです。

「訪問記念に買って帰りたい」という購入者側の心理を考えれば、購入(=訪問)日付は入っているべきなのですが、日付が空欄のまま販売されている御城印も多々あります。
統一規格がないことが御城印ごとの個性につながっているのも事実ですので、あくまでも良し悪しのひとつでしかないのですが、地方創生や町おこしにつなげるためには購入者の声にも耳を傾ける必要があると思います。

現実には窓口にきれいな字を書ける人がいないといった課題があるのでしょうが、字の巧拙を気にする購入者はほとんどいません。御朱印でもいろんな字があります。むしろ自分のために(日付だけでも)現地の方が直接書いてくださるという行為そのものがなによりのサービスであり、おもてなしだとぼくは思います。
こうした積み重ねが満足度につながり、またクチコミにもつながっていくと考えます。

そういう意味においても御城印ブームは、地方のお城に収益機会を与えるとともに、観光客を迎え入れるにあたっての心構えについて再考するいいきっかけになると思います。
お城の整備にはお金がかかるものです。トイレがなかったり、古いままのお城も多いですが、トイレが汚いと観光客の印象が一気に低下します。
また多くのお城ではガイドはボランティア前提になっていますが、そのかわりガイドの質は人によってまちまちで、古い知識のまま話されているガイドもいます。ぼくはガイドにはちゃんと最新の研究成果なども勉強してほしいし、ガイド自体は有料であってもかまわないと思っています。

こうした活動にはお金が必要なので、御城印の利益がそこに充てられればいいなと思いますし、それによって地域の魅力発信が加速するような好循環が生まれていくことを願っています。

以上となります。
ライターの佐藤さんにはぼくの長いコメントをうまく要約していただきました。あらためて読み比べていただくとそれがよくわかると思います。
(いちおうぼくはぼくで丁寧に答えようとして長くなっているんですけどね)

また文中でもふれていますが、今回の回答には攻城団として御城印についてインタビューさせていただいた方々から伺った話も多数盛り込んでいます。
購入している側、販売している側と両方の立場の方から御城印の現実を聞かせていただくことができていたので、これは中立的なぼくらがインタビューに答えるべきだなと思うことができました。この場を借りてあらためてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

ぼくらの御城印に対するスタンスは明白で「ブームが来てるなら乗っかればいいし、その収益を間接的に還元すればみんながハッピーになる」というものです。
攻城団はお城にかかわるすべての人が楽しく、幸せになるようにこれからも御城印情報を収集してみなさんとシェアしていきます。

どんどん更新していきますので、御城印の情報をお持ちの方はぜひ教えてくださいね。 

blog.kojodan.jp

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